【マンガ】『白百合は朱に染まらない』1巻―ソ連に実在した女子飛行連隊
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『白百合は朱に染まらない』平沢ゆうな / 講談社
⇧1巻は2019年2月に発売。
最新刊の2巻は2019年9月9日に発売されました。
<実在した女子飛行連隊>
大抵は戦闘機に乗っているのは男性です。
しかし第二次世界大戦時のソ連には、整備兵からパイロットまでの全隊員が女子だけで構成された戦闘飛行連隊が存在しました。
第586~588女子飛行連隊です。
もちろん後方支援ではなく、本格的な前線部隊です。
その活躍ぶりは記録に残っています。
・第588女子夜間爆撃飛行連隊:総爆撃回数24000回以上
・第587女子爆撃飛行連隊:合計投下爆弾量約980000トン
・第586女子戦闘飛行連隊:累計作戦参加機数:4419機
すさまじいですね。
~~~~~発足の経緯~~~~~
ナチス・ドイツがポーランドに侵攻して第二次世界大戦は始まりました。
その後、ソ連はドイツと条約を結んで、同じくポーランドに侵攻します。
それに続いてフィンランド、バルト三国へと領土拡大を目指しました。
条約があるので、ドイツとソ連は戦争でぶつからないはずでした。
しかし1941年6月22日にドイツがバルバロッサ作戦を発動させ、ソ連に空爆を開始しました。
ドイツが不可侵条約を破ったわけです。
その後もドイツはさらにソ連に侵攻していきました。
ドイツとソ連の開戦から2ヶ月半が経過した頃、ソビエト中のラジオから女性軍人のマリーナ・ミハイロヴナ・ラスコーヴァ少佐による演説が流れました。
ソ連の女性たちへ向けた、戦争参加の呼びかけです。
それに呼応した女性たちが集められ、急ピッチで戦闘訓練が施され、実戦に投入されることになったのです。
それが第586~588女子飛行連隊です。
この漫画では、そんな飛行連隊に入り、戦闘機に乗ってドイツと戦うソ連の女子たちの姿が描かれています。
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<あらすじ>
時は1941年6月21日。
主人公の少女・ナージャはソ連西部のウクライナで暮らしていました。
彼女はまだ若いですが、民間人に準軍事的な訓練を施す組織・オソアヴィアヒムで、戦闘機の乗り方を習得しています。
彼女は毎日、幼馴染の少年・イヴァンと飛行機に乗って空戦ごっこをして遊んでいます。
ある日、彼らのもとへ、イヴァンの父親が「人民の敵」として処刑されることが決まったという知らせが届きました。
1930年代初頭のソ連では深刻な飢饉に襲われたため、農業集団化されたウクライナは厳しい食糧徴発を受け、それに反抗した者は容赦ない処罰を受けたのです。
イヴァンは単独で父親を救おうとライフルを持って飛行機に乗り込みますが、自殺行為なのは明らかなので、ナージャは彼の行動を制止しました。
ウクライナ人のイヴァンは、ナージャにこう言います。
「ロシア人のお前には、俺たちウクライナ人の気持ちなんか分からない。
戦争で国を奪われて、ソビエトに取り込まれて誇りを奪われて、共産主義で自由まで奪われて・・・」
二人がケンカ別れになった翌日の早朝、ドイツがバルバロッサ作戦を開始しました。
ナージャの家にも爆弾が直撃し、彼女の母はそれにより亡くなります。
臨時病院のベッドで目覚めたナージャは、そこで戦争が始まったことを知らされます。
家も家族も友人たちも全てなくなったことも。
ドイツとの開戦後に流れて来たラジオ放送を、ナージャは耳にしました。
それは彼女が憧れていた女性パイロット・マリーナによる戦争参加の呼びかけでした。
故郷に平和を取り戻すため、ナージャは迷わず女子飛行連隊の訓練に参加を決めました。
そして1942年4月。
マリーナの呼びかけの下に集まった少女たちは、通常2年かかる訓練を半年で完了しました。
彼女たちが成績優秀だったのではなく、練度が低いままで実戦投入されることになったということです。
一方、ドイツによる空爆で亡くなったと思われたイヴァンは生きていました。
なんと彼はドイツ空軍に入ってソ連と戦う道を選んだのです。
別にこれは珍しいことではなく、当時のソ連のことを良く思っていないウクライナ人は多くいました。
「敵の敵は味方」ということで、ドイツに協力するウクライナ人もいたのです。
果たしてナージャとイヴァンが戦場で再会したとき、どうなってしまうのでしょうか。
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<まとめ>
世界初の女子飛行連隊が、かつてのソビエト連邦に存在しました。
その女性パイロットたちの生き様が、史実を元に描かれています。
著者はこの作品を描くにあたって、情報の少ないソ連航空機を勉強し、英語やロシア語の文献を読み解き、実際にロシアに取材に行ってリアルな知識を集めたそうです。
その膨大な取材量は、本書のコラムにてその片鱗が窺えます。
単純なエンターテイメントではなく、近代世界史の勉強にもなる漫画です。
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