【マンガ】『アニウッド大通り』―昭和のアニメ制作と家族の物語
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『アニウッド大通り』記伊 孝 / 個人出版
⇧1巻は2014年発売。
2019年8月現在10巻まで出ています。
紙の本は存在せず、電子書籍版(kindle版)でしか読めません。
ちなみにkindle unlimitedなら全巻無料で読めます。
個人出版によって作られた漫画です。
<電子書籍による個人出版>
出版社や問屋を通さない「個人出版」という本の出版形式は昔からありました。
編集者に内容をいじられることなく自分の好きなように書くことができ、売り上げも出版社や問屋に取られないというメリットがあります。
ただ、宣伝や各書店に本を置いてもらうよう交渉するなどの営業活動も全部自分でやる必要があります。
なにより、紙の本は印刷しなければならない(コストがかかる)し、刷り過ぎて在庫を抱えてしまうリスクがあるので、これまでは赤字覚悟でどうしても自分の本を世に出したいという人だけが挑戦する行為でした。
しかし電子書籍が誕生し、今では電子書籍での個人出版も可能となりました。
もうAmazonで個人出版の電子書籍を売買することは一般的です。
個人で電子書籍を売るには、Amazonのサービスの一つであるKDP(Kindle Direct Publishing:キンドルダイレクトパブリッシング)を使います。
これは印刷する必要がないので印刷費はかかりませんし、在庫を抱えるリスクもゼロです。
紙の本なら印税は10%前後ですが、KDPなら最大70%まで設定できます。
価格も一冊あたりのページ数も自分で決められます。
従来のデメリットが消滅し、もはやメリットしかありません。
この漫画も個人出版によって作られています。
紙の本のバージョンは存在しません。
本の帯やあとがきでも書かれているように、著者は紙の書籍化も狙っているようです。
つまり「利益を搾取されるから出版社を通したくない」と考えているわけではないということです。
紙の本の方が好きという読者はまだ多いですし、漫画家も作品の画面構成は見開き(左右2ページ)単位で考えているので、紙の本をあえて避ける理由はありません。
著者が「個人出版か出版社を通すか」をリスクではなく好みで選択することができる時代になり、これから作品の多様性が増していくと思われます。
「紙の本は絶滅してほしくない」という思いはありますが、著者や読者の立場からすれば自由度が上がったので良い事です。
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<あらすじ>
舞台は昭和。1980年代。
団地に住む真駒一家のドタバタを描いた漫画です。
主人公は長男の真駒樹貴(たつき)。小学5年生。
家族は他に妹と両親がいます。
父親はアニメ監督をやっています。
樹貴は父親の影響で絵を描くのが得意です。
文部大臣賞も受賞しています。(まだ文部科学省じゃない)
学校でも自作漫画を友達に見せ、人気を博しています。
父親がアニメ監督だということも友達は知っており、樹貴はクラスメイトの一部から羨ましがられています。
父親は仕事の鬼でめったに家に帰ってきませんが、帰って来たら子どもたちと真剣に遊びます。
父親考案のオリジナルゲームで子どもたちを負かします。
家で次回作の企画会議をすることもあり、そのときは子どもたちまで巻き込んでバカ騒ぎします。
ただひたすらに、古き良き時代としての昭和の家族の生活が続きます。
幻想かもしれませんが、読むと和みます。
著者はジブリの宮崎駿監督の元で演出の勉強をした経験があり、そのときの様子を漫画にした『東小金井村塾物語 巨匠と過ごす夏』も毎巻1話ずつ収録されています。
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<著者について>
著者はデビュー作『交渉人 峰岸英太郎』(全5巻 / 講談社)で紙の書籍版コミックを出版して以降は、電子書籍による個人出版スタイルに変わりました。
現在では紙の書籍版は絶版になっており、著者の作品はすべて電子書籍版でしか入手できない(読めない)状態です。(中古本は全巻そろえるのが大変)
デビュー作以降も『マテマティシャンズ』、『インクリング・アリス』などどれも描き込みの量がすさまじく、迫力のある画面が特徴です。
キャラクターの絵柄も可愛らしく個性的で、あまり知名度がないのが不思議な作家さんです。
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