【マンガ】『うちの師匠はしっぽがない』―大正上方落語ファンタジー
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『うちの師匠はしっぽがない』TNSK / 講談社
⇧2019年9月6日発売。
<落語マンガ>
この漫画の題材は落語です。
落語マンガは世の中にいくつか存在します。
有名な作品でいえば、『昭和元禄落語心中』や『じょしらく』があります。
◆『昭和元禄落語心中』雲田はるこ / 講談社 / 全10巻
◆『じょしらく』久米田康治・ヤス / 講談社 / 全6巻
『昭和元禄落語心中』は女性向けのシリアスな恋愛ものです。
『じょしらく』は楽屋で繰り広げられるユルい女子トークがメインであって、落語自体はほとんど描かれないコメディ作品です。
これから紹介する『うちの師匠はしっぽがない』のシリアス具合は、上記の作品の中間くらいです。
設定はファンタジーですが、落語についてはかなり詳細に描かれています。
落語には上方落語と江戸落語があります。
上方落語とは、大阪や京都を中心に演じられてきた落語の総称です。
江戸落語は落語家が一人で話しているだけですが、
上方落語では 、噺に合わせて三味線や太鼓といったハメモノ(鳴り物)が入ります。
さらに演者の前には「見台」と呼ばれる小さな机が置かれているのが特徴です。
この漫画は、そんな上方落語を題材にした作品です。
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<あらすじ>
時は大正時代。
文明が進歩したことでタヌキやキツネが人を化かしていた時代は終わり、彼らは人間と関わることを避けて生きるようになっていました。
主人公であるタヌキの女の子・まめだは、淡路の山(田舎)で暮らしていました。
小さい頃から術を磨いてきた彼女は、いつか人間を化かしてみたいと思っていました。
ある日彼女は、初めて大都会・大阪にお使いに出されました。
里の長老からは人間と関わるなと忠告を受けていましたが、彼女はそんな言いつけに従う気は毛頭ありません。
まめだは大阪に着くなり人間の少女に変身します。
そして葉っぱをお札に変えたり人魂を出現させたりして人間を驚かせようとしますが、誰も彼女の術に引っかかりません。
男に化けてナンパをしようとした際には、女に初見でタヌキだとバレてしまいました。
まめだは術で人を化かすことが非常に難しいことを実感したのです。
翌日、人間の集まっている場所に現れたまめだ。
そこは落語の寄席でした。
落語が何かも知らないまま劇場に入った彼女が見たものは、昨日彼女の正体を見破った女でした。
女の正体は大人気の落語家であり、名前を大黒亭文狐(だいこくてい ぶんこ)といいました。
訳の分からないまま落語を鑑賞し始めたまめだは、次第に文狐の噺に魅了されていきます。
そして情景がありありと思い浮かべられる文狐の話術というのは、人を化かしているのと変わりないことに気付きます。
文狐の演目を堪能したまめだは、落語を覚えるために文狐の弟子になることに決めました。
彼女は、それから何度も文狐のもとへ押しかけます。
最初は「里に帰れ」と言って弟子入りを拒否していた文狐でしたが、最終的にはまめだの情熱に根負けして弟子にすることを認めました。
まめだの、落語家になるための修行の日々が始まります。
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<芸で人を化かす>
実は文狐も人間ではありません。
キツネです。
彼女もまた人を化かすことに面白さを感じており、そのために落語の技術を磨いたのです。
つまりタヌキがキツネに落語の弟子入りをするわけです。
まめだはまだ半人前なので、疲れると変化の術が解けてタヌキの姿に戻ってしまいますが、文狐は人間社会に適応しており、正体を完璧に隠し通して生活しています。
そういったファンタジー設定が大正時代の上方落語という舞台と上手く混ざり合って、独特の空気を生み出しています。
「術ではなく芸で人を化かす」という発想がいいですね。
2巻は2019年12月6日発売予定。
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