【小説・ミステリー】『トップリーグ』―政治家は疑獄事件をいかに握り潰すか【ドラマ化】
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『トップリーグ』相場英雄 / 角川春樹事務所
⇧2019年7月13日に文庫版が発売されました。
ハードカバー版も2年前に発売されています。
2巻はいきなり文庫版で2019年8月に発売されました。
2019年10月からドラマ放送が開始されます。(WOWOW)
主演は玉山鉄二さんです。
他には、池内博之さん、佐久間由衣さん、小雪さん、陣内孝則さん、小林 薫さんなどが出演されます。
<疑獄事件>
「疑獄事件」という言葉をご存じでしょうか。
はっきりした証拠をつかむことが出来ないけれど、有罪が疑わしい事件のことです。
もっと言えば、政治家が絡んだ大規模な贈収賄事件を指します。
彼らが保身のために証拠を握りつぶすので、有罪になりにくいのです。
有罪にまで持って行けた具体例としては、
昭電疑獄事件(1948)、造船疑獄(1954)、ロッキード事件(1976)などがあります。(戦後の三大疑獄)
昭電疑獄は、戦後の復興金融金庫の政策融資に絡んだ汚職事件。
造船疑獄は、計画造船および造船利子補給法改正案の成立をめぐる贈収賄事件。
ロッキード事件は、アメリカの航空機製造会社・ロッキード社からの旅客機の受注をめぐる収賄事件です。
当然のことながら、信用を失った当時の政権は崩壊しています。
これらはいずれも昭和の事件ですが、平成になったら汚職を働く政治家がいなくなって、疑獄事件がなくなったというわけではありません。
長期間、政権交代がほとんど起こらなくなったことにより、国に汚職体質が定着し、政治の腐敗が日常化し、大きな贈収賄事件が起きても社会問題にならなくなっただけです。
大衆からは、政治に対するモラルも期待も関心も失われつつあるからです。
投票率の低さがそれを物語っていますね。
とはいえ、政治の腐敗に対して憤りを感じている人はゼロではありません。
不正に怒る人々ももちろんいます。
汚職をしたのに、未だのうのうと政治の中枢に居座り私腹を肥やしている政治家を糾弾しようと、証拠を集めるために日夜奔走しているジャーナリストたちもいます。
この小説は、そんな疑獄事件に向き合う記者たちの物語です。
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<あらすじ>
2020年開催予定の東京オリンピック関連施設建設地から、金庫が掘り出されました。
その中には、一億五千万円の現金が入っていました。
一万円札の絵柄は、福沢諭吉ではなく聖徳太子でした。
しかも帯封つきのピン札です。
一体誰が持ち主だったのか、世間で話題になりました。
(※聖徳太子は1986年まで印刷されていた)
中堅新聞社・大和新聞の経済部に勤める松岡直樹は、入社15年目を迎えました。
現在はサブキャップを任され、エース的な存在として活躍しています。
彼は話題の金庫の取材に奔走していたところ、突如政治部に異動を命じられます。
政治部から優秀な人材が何人も他誌に引き抜かれてしまって、人手不足になったからです。
松岡は政治部の異色さをすぐに感じ取ります。
他の部署では管理職は脇役であり、現場記者に露骨な介入はしないものでしたが、政治部では部長がメインプレイヤーとして幅を利かせていたからです。
政治家は、テレビに映るような公の場では本音を一切漏らしません。
そんな建前論だけの話を聞いていても、ライバルの記者たちと差をつけられません。
だから政治部の記者たちは、政治家の信頼を得て、本音や極秘情報を漏らしてもらえる懇談会に参加させてもらえる権利を狙っています。
懇談会やサシ飲みに誘われる記者は、ごく少数です。
これらの人々をトップリーグと呼びます。
トップリーグにいる記者は、誰よりも速く、確度の高い情報を記事にできるため、管理職であろうとメインプレイヤーであり続けることができるのです。
松岡は上司に「早くトップリーグに入れ」と激励を受けます。
最初は下っ端の仕事を任されていた松岡でしたが、急病で倒れた先輩記者の代役として、官房長官・阪義家(さか よしいえ)の定例会見に参加することになりました。
そこで松岡が非常識な発言をしたことにより、なぜか阪に気に入られ、懇談会に誘われました。
他の記者たちを差し置いて、一気にトップリーグ入りを果たしたのです。
一方、松岡と同期入社したものの上司と折り合いが悪くて退社することになった酒井祐治は、週刊誌記者として一億五千万円の件を取材していました。
その中で取材関係者が不審な殺され方をしました。
どうやら埋められていたお金は、与党や野党の一部の政治家が関わっている、昭和から引き継がれてきた裏金だと分かって来ます。
酒井はそれを記事にまとめて告発しようと奔走しますが、完成間近でチンピラにメッタ刺しにされてしまいました。
酒井はまとめあげた取材データを、今際のきわで松岡に託します。
その頃すでに官房長官と親密になり過ぎていた松岡は、
疑獄事件を記事にして友人の無念を晴らすか、
取材内容を公にせずに、官房長官が押し進める多くの子育て世代の利益になる政策を守るか決断を迫られます。
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<疑獄事件の潰し方>
政治家は保身のために、どんな手段を使っても自身が関わった疑獄事件をもみ消そうとします。
とはいえ戦後のゴタゴタした時期ならいざ知らず、平成・令和となった今の世の中では、迂闊なことをすれば警察やマスコミを抑えつけるだけでは防げない可能性もあります。
ですので、もみ消しには直接的な方法と、婉曲的な方法が用いられます。
直接的な方法とは、ヤクザの下っ端に依頼して記者を殺害してもらうことです。
実行犯がもし捕まっても、本当の理由は明かしません。
「誰でもよかった」「ムシャクシャしていた」というありふれた犯行動機で事件が処理されます。
婉曲的な方法とは、
記者の会社の上層部から圧力をかけたり、
記者のライバル社と結託して潰そうとしたり、
記者の身内や関係者をトラブルに巻き込んで記事を取り下げさせたりすることです。
もっと色んな方法があります。
正直、権力さえあれば何でもアリな世界です。
政治家たちの狡猾さが、これでもかと伝わってくる作品です。
怖いです。
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