【マンガ】『BE BLUES!青になれ』36巻―過去に囚われるな
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『BE BLUES!青になれ』田中モトユキ / 小学館
⇧2019年8月16日発売
サッカー漫画です。
<過去の栄光>
「神童」という言葉があります。
非常に優れた才能をもつ子どものことです。
また「十で神童、十五で才子、二十歳過ぎればただの人」というフレーズもあります。
子どもの頃にすごい才能を発揮していても、成長するにつれて凡庸になってしまう人が多いことを表現した言い回しです。
とはいえ、そうなってしまうのは様々な事情があるはずです。
単純に練習をサボるようになった自己責任系の理由もあれば、
自分以外の理由でその才能を手放さざるを得ないこともあります。
この漫画の主人公は後者にあたります。
幼い頃にあった才能がなくなった後の生き方は、大きく二つに分かれます。
未練を引きずって生きるか、失ったものに見切りをつけて別の道を探すかです。
人は自分の才能がなくなったとは思いたくないので、未練を残してしまいがちです。
才能は目に見えないので、今はちょっと調子が悪いだけ、感覚を忘れただけ、環境が悪いだけといった色んな言い訳が可能です。
今は全盛期より衰えているけれど、いつかあの頃のように戻れるんじゃないかとつい考えてしまいます。
昔は称賛されたはずの才能に見切りをつけるのは簡単ではありません。
この巻ではそんな昔の才能や過去の栄光とキッチリ決別して、新しい道を進もうとする者の姿が描かれています。
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<あらすじ>
小学校のときに幼馴染の友達である優人を助けるために、大ケガを負ってしまった主人公・一条龍。
彼は事故に遭うまでは、天才的なサッカー選手でした。
敵も味方も観客も彼のプレーに魅了され、将来を嘱望されていたのです。
ケガをしてからの龍は2年間サッカーから遠ざかり、二度と運動が出来ないと医者に言われながらもリハビリを続け、とうとうサッカーが出来るまで回復しました。
しかし、事故前まで持っていた俊敏さや天才的なボールタッチの才能は失われてしまいました。
つまり日本代表になってワールドカップに出場するという彼の夢は、周囲からはもはや絶望的だと思われたのです。
龍は事故がなければどこかのクラブチームからスカウトされて入団することは間違いなかったのですが、それも不可能になりました。
試行錯誤の末、普通高校のサッカー部に入部し、そこで実績を残して日本代表に入るプランを立てます。
そして龍は元ユーゴスラビア代表選手であるミルコと出会い、彼の指導によりこれまでとは違うサッカースタイルで上を目指していくことにしました。
一方、龍のライバル的存在である桜庭もまた幼少期から才能を開花させ、ジュニアユースチームに所属していました。
しかし彼はその天才的なテクニックを鼻にかけ、傲岸不遜な態度で試合に臨んでいたために、チームメイトたちとうまくやれずにチームを退団することになりました。
彼は自分の実力を認めないジュニアユースのチームを恨み、同時に少し未練も持ちながら高校からは龍と同じチームに入ってサッカーをします。
34巻からは桜庭のかつてのチームメイト達との試合です。
そこには龍の小学生時代のチームメイトだった久世もいました。
前半は終始押されっぱなしの龍たち。
ついに敵に先制点を許してしまいました。
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<過去と決別するための試合>
小学生の頃の久世は大した選手ではありませんでした。
しかし龍が事故に遭ってからは、理想の龍の姿を追いかけ実力を付けていきます。
「もし龍ならこういう場面でどういうプレーをするだろうか」という度重なるイメージトレーニングが功を奏し、久世はまるで龍が事故に遭わなかったらこういう選手になっていただろうと周囲に思わせるスーパープレーを連発します。
それを見た龍と桜庭は悔しがります。
しかし終わったことを振り返っても仕方がありません。
桜庭は「ユースだとかそうじゃないとか、そういうこだわりをこの試合で終わらせたいだけだ」と言い、
龍は「だから勝つために力を合わせよう」と、個人プレーに走りがちな桜庭に持ちかけます。
龍や桜庭の過去の栄光を具現化したようなキャラクターが久世です。
彼との対決はまさに、過去の自分の才能との対決です。
今自分が持っている力で、過去を乗り越えられるかどうかの戦いです。
過去の栄光やあったはずの才能に囚われていている者はいつまでも勝てません。
努力と工夫と現実(自分の今の才能)を直視できる心の強さを持つことで、過去の自分に勝つことができるのです。
果たして龍たちは、試合と過去の自分に勝つことができるのでしょうか?
いよいよ勝負も佳境です。
次巻で決着がつきます。
37巻は11月発売予定です。
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