【マンガ】『天地創造デザイン部』1巻―動物の形態の必然性が理解できる
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『天地創造デザイン部』蛇蔵・鈴木ツタ・たら子 / 講談社
⇧1巻は2017年11月発売。
2019年1月に最新刊の3巻が発売されました。
<天地創造>
キリスト教の神が天地創造でつくった流れは以下の通りです。
まず天と地をつくる➡光をつくって昼と夜ができる➡太陽と月と星をつくる
➡動物をつくる➡人をつくる➡7日目は休み。
現代では多くの人が天地創造はフィクションだと分かっていますが、聖書が出来た当時は誰もが人間や動物をデザインしたのは神だと信じていました。
神は1日で太陽や月をつくり出しましたが、仕事量は日に日に減っていっているのは明らかです。
神が全動物をつくるのにかかった時間は2日。
人間をつくるのにかかった時間は1日足らず。
労力があまりにも違いすぎますね。
全知全能の神なのに、途中から疲れたのでしょうか。
神にも「面倒だ」という感情があったのかもしれません。
この漫画は、「天地創造の過程で神が面倒がった仕事がある」という視点から作られています。
これだけ独創的なアイデアはなかなか思いつけるものではありません。
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<あらすじ>
神は動物をデザインする際、面倒だったので天使たちにやらせようとしました。
具体的には天地創造社のデザイン部に外注(下請け)に出したということです。
天地創造社の社員は全員天使です。
新入社員の下田が出勤してくるところから物語は始まります。
その日、神から流されてきたデザインの依頼は、
「すごい高いところの葉っぱが食べられる動物」です。
神の注文はいつも漠然としています。
我々読者は「キリンのことだな」とすぐに察しが付くわけですが、そんな生物はまだいない世界で動物のデザインが行われるのだから、自然と依頼に沿ったデザインのアイデア対決になります。
そこは現実世界におけるデザイナーのブレインストーミングに似ています。
過去に「馬」をデザインして採用された実績のある土屋は、ペガサスを提案しました。
一方、過去に「カンガルー」をデザインして採用された実績のある海原は、首長ジカを提案しました。
理論上は高いところにある葉っぱを食べられる生き物たちです。
早速エンジニアにデザイン案を渡して、実際の動物を試作してもらいます。
結果はどちらも不採用でした。
ペガサスがダメな理由は翼で飛ぶためには筋肉量が足りず、たとえ飛べたとしても空中に留まっていられず、葉っぱを食べるのが難しいからです。
首長ジカ案がダメな理由は、10mの首なら頭に血液を持ち上げるには1.5トンの心臓が必要であり、そんな心臓は無理なので脳貧血になってしまうからです。
逆に足を長くしすぎると、かがんで水が飲めなくなります。
結果、首と足を半分ずつ伸ばす折衷案が採用になりました。
あとは模様や角を足して出来上がりです。
翌日からも、神のアバウトなデザイン依頼(とにかくチマチマ食べる動物、かっこいい武器を持った動物など)にデザイナー天使たちは試行錯誤しながら応えていきます。
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<まとめ>
ギャグ漫画の仮面をかぶった、様々な生き物の雑学を知ることができる漫画です。
本編の後に、題材として取り上げられた動物の情報をさらに詳しく紹介してくれています。
キリンの例でいえば、頭に血液を持ち上げるために血圧は260mmHg(高血圧)になっているだとか、後頭部には特殊な毛細血管を装備し、頭を上下させても立ちくらみしないようになっている事などです。
本編では、いかに現存している動物が環境に適応したデザインになっているかを、逆説的に解説してくれています。
つまりデザイナーたちの案がなぜ却下されたのか(現実世界で生き延びられないか)を逐一説明していくことで、現存する動物のデザインの必然性が理解できるというわけです。
進化論や自然選択による淘汰は漫画のコンセプト上無視していますが、食物連鎖や栄養学、生体組織学などの生物学的情報はきちんと説明されています。
教養ギャグ漫画です。
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