【マンガ】『ブルーピリオド』5巻―色彩センスの秘密
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『ブルーピリオド』山口つばさ / 講談社
⇧2019年6月21日発売。
『このマンガがすごい!2019』第4位。
超アツい美大受験マンガです。
<あらすじ>
適当に不良をやりつつも、家ではしっかり勉強して成績優秀な主人公・矢口八虎。
順風満帆だった高校生活も2年目にさしかかる頃、絵を描く楽しさに目覚めます。
これまでは無難な将来設計を予定していましたが、
悩んだ末に、一転して志望大学も東京藝大一本に絞るという方針に変更します。
美術部だけでなく予備校にも通い、親も説得して応援してもらえるようになりました。
予備校では油絵科の講師と何度も面談を重ね、今年の受験での現役合格に向けて足りない部分を強化していきます。
彼は他人よりも量をこなすことで、劇的に技術を向上させ、絵を描くノウハウやコツを身に着けていきました。
そしてついに、一次試験が始まります。
課題は「自画像」の素描。(鉛筆でのデッサンで、着色なし)
途中で支給された鏡を割ってしまうというハプニングがありましたが、それがキッカケとなってアイデアが浮かび、渾身の作品を描くことができました。
3日後、一次試験の合格発表の日がやって来ます。
矢虎の通う予備校の油画科のメンバーで合格したのは矢虎を含めた3人だけでした。
二次試験は5日後。
課題は油彩課題です。
3日間かけて一枚の油絵を仕上げます。
矢虎は一次試験突破のために、基礎力向上を目指して素描に力を入れてきました。
一次試験を突破できなければ話にならないのだから、至極まっとうな戦略です。
しかしそのせいで、油絵を描いた枚数が少なくなりました。
彼は絵を描くことを始めたのがそもそも遅めだったので、経験の少なさから不安を覚えていました。
課題は山積しているけれど、何から手を付けていいのか分からない状態です。
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<色彩センス>
素描はモノクロですが、油彩には色彩があります。
矢虎は自分の色彩センスのなさに悩んでいました。
色がカッコイイ作家の画集を見てもよく分からず、色彩心理の本を読んでみても抽象的なことしか書かれていないため、彼の助けにはなりませんでした。
矢虎は、「色のきれいな作品はいろんな色をカッコよく使っている。しかし自分にはそれができていない」と予備校の面談で講師に相談します。
講師は「あなたの絵は色を乗せすぎているからだ」と答えます。
さらに講師は質問します。
「色がきれいな作品も、そうじゃない作品も使っている絵の具は同じ。
では何が違うと思う?」
答えは「色同士の関係性」と「色に対する作家の感受性(感度)」です。
色というのは、それ単体ではなく「隣に来る色」や「下に来る色」、つまり関係性によって全く違う印象になります。(下図参照)
さらに同じ色を使った絵でも色の配分量で印象が変わるし、
同じ色でも形によって印象が変わります。
また、同じ「赤」でも
湿度の高い赤なのか、おどろおどろしい赤なのか、みずみずしい赤なのか、
自分の描く絵にどんな赤が最適なのかは、自分にしか分かりません。
色はとにかく乗せればいいというものではないのです。
色がいい人とそうじゃない人の違いは、
「色に対して神経を研ぎ澄ましているかどうか」
だと講師は言いました。
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<まとめ>
「色同士の関係性」や「色に対する感度」という視点は、多くの人がほとんど意識しないまま生活しているのではないでしょうか。
言われてみれば「ホントだ!」と軽い驚きすら覚えます。
いつも色のついた何かを見ているはずなのに。
この5巻を読むと、我々はモノクロではなく色彩に満ちた世界で生きているというのに、普段どれだけいい加減にものを見ているかに気付かされます。
この世のものは、黒と白そして赤青黄の三原色で表現できます。
それ以外の色は、色を混ぜ合わせれば出来上がります。
始まりは三色だけでも、それぞれの関係性、配分量、形、構図、光、素材、その他もろもろで無限に変化します。
「色」というのは非常に奥深い世界なのです。
このマンガは美大受験ならではの鋭い視点を提供してくれるので、毎回ワクワクします。
「センス」を単にセンスと言わずに、きちんと視覚化あるいは言語化してくれるので説得力があります。
まだ5巻なので、未読の方は一気読みしやすいかと思います。
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