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【マンガ】『ブルーピリオド』(1巻)―「好きなことは趣味でいい」は大人の発想に過ぎない

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『ブルーピリオド』山口つばさ / 講談社

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 ↑『このマンガがすごい!2019』で第4位にランクイン!

めちゃくちゃアツい美術マンガです。

高校生なら絶対に読むべき本です。 

 

<あらすじ>

 適当に不良をやりつつも、家ではしっかり勉強して成績優秀な主人公・矢口八虎。

コミュニケーション能力も高く、周りの不良は嫌われているけれど、八虎だけは人当りがいいので皆から好かれています。

順風満帆に思える高校生活(高校2年)です。

 

母親は大学案内本を渡してきたりして、八虎の進路は「いい大学」に行くものだと思っています。

「ウチは私立は無理だから、頼むからちゃんとしたとこに入ってね」というセリフから、そこそこのプレッシャーをかけてきているのが分かりますね。

八虎自身も、無難に考えていて、元々そうするつもりでいます。

「心配しなくても、ちゃんとするって」と。

一方で、人間関係を円滑にするのも、勉強して成績を上げていくのも、ゲームのような感覚があって、クリアすれば達成感はあるものの、どこか虚しさもつきまとって来ることを感じています。

 

ある日、選択授業の美術の時間に忘れ物をしてしまったことに帰宅してから気付き、学校に戻ることになりました。

八虎は、そのとき入った美術室に置かれていた大型の絵に心を奪われます。

そのあまりの迫力に背中を押されるかのように、次の選択授業の美術の時間では、絵を描くことにマジメに取り組んでみます。

出来上がった絵は不完全で拙いものでしたが、他人から評価してもらえました。

勉強でいい成績をとって褒められても別に嬉しくなかったのに、

下手だけど全力で描いた絵を褒められたら予想以上に嬉しかったのです。

 

絵を描くことに興味を持ち始め、美術部員や美術の先生と話をしていくうちに、進学進路の選択肢に「美大」というものがあることを知ります。

同時に、美大は東大よりも難関で、尋常じゃない学費がかかることも。

(美大は現役合格は難しく、2浪、4浪は当たり前という世界です。)

 

<絵の道に進むということ>

八虎は、絵を褒められて浮かれそうになる自分にブレーキをかけます。

「楽しいなんて怠慢だ。今さら絵の道を選べるほどバカじゃないんだ」と。

絵を描くことを薦めてくる美術の先生にも強がったことを言います。

「そもそも食べていけなくても好きなことをやりたいって精神が分からないし、

もっとフツ~に堅実なとこ(大学・進路)選びます」と。

 

けれど家に帰って自室で勉強する傍らで、「こんなのは時間の無駄だ」と思いながらもつい絵を描いてしまう八虎の表情がすごくいいです。

「お絵描きって趣味でいいんじゃないの?プロを目指さなくても、美大に行かなくても絵は描ける。ガチでやる意味ある?」と自問しながらも、絵を描くことがやめられない八虎。

 

ついに美術の先生に聞いてしまいます。

「絵って趣味じゃダメですか? 

食べていける保証がないなら、美大に行くメリットってなんですか?」と。

本質を突く、良い質問ですね。

その問いに丁寧に解説を加えて答えてくれる先生は、最後にこう言いました。

 

「『好きなことは趣味でいい』、これは大人の発想だと思いますよ。

好きなことに人生の一番大きなウエイトを置くのって、普通のことじゃないでしょうか?」

 

衝撃的なセリフです。

自分は今まで、無難に生き過ぎてきたのではと思いました。

(それにしても、このマンガは名台詞が多い!)

 

八虎はこのあとすぐに美術部に入部することを決意します。

こうと決めたら時間を無駄にしたくない。

虚しさを抱えていた彼の人生のエンジンにようやく火が付きました。

美大受験まであと2年弱。

仲間やライバルたちとのアツい日々が始まります。

 

現在3巻まで出ています。

 

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