【マンガ】『Heaven?』―主人公が邪魔者という独創コメディ
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『Heaven? ご苦楽レストラン』佐々木倫子 / 小学館
⇧コミックは2005年に発売。
文庫版は2010年発売。
ともに現在絶版で、中古か電子書籍版でしか入手できません。
2019年7月からドラマ放送が開始されます。(火曜夜10時)
主演は石原さとみさん。
他には福士蒼汰さん、志尊 淳さん、勝村政信さん、段田安則さん、岸部一徳さんが出演されます。
フレンチレストランを舞台としたコメディ作品です。
<飲食店経営>
「お客様は神様だ」というフレーズは誰もが聞いたことがあるはずです。
元々は歌手の三波春夫さんの言葉です。
その真意は、彼がご自身の聴衆をそうとらえて、神前で祈るときのように雑念を払って澄み切った心で歌を歌うことを心がけていたというものです。
決して飲食店のお客を指して言った言葉ではありません。
しかし現在ではその解釈が誤解され、飲食店のクレーマーが切り札としてすぐ使いたがるセリフNo.1となっています。
「お金を払うのは客なんだから、サービスに一切不備があってはならない。サービスに不満があるなら店員を一方的に責め立ててよい。客は正義である。」という勘違いをしたまま尊大にふるまう人間は少なからず存在します。
店側がそれに逆らえないのは、もめ事を起こしたくない、悪評を立てられたくない、もっと騒がれて大ごとになり、他の客の迷惑になるくらいなら理不尽な要求も素直に従っておいた方が穏便に済ませられると考えているからです。
この先もお店を経営していきたいという弱みがあるから、お客の多少の理不尽には目をつぶるしかないと諦めているのです。
しかし、もしその弱みが小さければどうでしょうか。
つまり店のオーナーが儲けを最優先にしていないとしたら。
「迷惑な客は叩き出す、出入り禁止にする」といった処置をとることができますし、オーナーの好きなように経営できます。
このマンガの主人公は飲食店のオーナーです。
しかし儲けたいのではなく、自分の好きな時間に好きな料理を食べたいから経営しているのです。つまりほぼ趣味でやっているので、失敗しても生活に困りません。
こういう強気の経営は面白いドラマには不可欠です。
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<あらすじ>
フレンチレストランで働く青年・伊賀観(かん)。
彼はマジメでしたが、ホールで働くには不愛想すぎて客や同僚からも注意を受けていました。
そのレストランに、客として主人公の黒須仮名子がやって来ます。
彼女は自分がオーナーとなって新しくレストランをオープンしようとしていました。
その勉強とスタッフ探しのためにフレンチレストランのハシゴをしていたのです。
ヤクザのクレーマーに応対しても表情を変えない伊賀の姿を見て、彼女は「うちのレストランに来ないか」と彼を誘います。
「レストランで一番大事なのは客とスタッフとの間の適度な距離感よ。
そしてスタッフに必要なのはオリジナリティ。
あなたはいいサービスマンになるわ」
自分のことを認めてくれた黒須のこの言葉を信じて、伊賀は今の仕事を辞めて黒須の店のオープニングスタッフに加わります。
しかし黒須にスカウトされて集まったメンバーたちは、皆フレンチレストランで働いた経験がありませんでした。
元銀行員、元牛丼屋の店長、元美容院のスタッフという経歴の持ち主たちです。(シェフだけは一流ですが、これまでの職場がすべて倒産しているというジンクスを持っています。)
オープンまで日が近いので、伊賀は急ピッチでホールの仕事のやり方を皆に教えていきます。
黒須が500人にDMを送って店に招待し、ようやくオープンの日を迎えたのに、なぜか一人の客もやってきません。
なぜでしょうか。
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<まとめ>
繁華街や住宅街から離れていて、墓地がすぐそばという最悪の立地条件に加え、
オーナーの黒須がレストランの仕事をナメているとしか思えないいい加減さを振りかざします。
オープン4日前だというのに食材の仕入先が決まっておらず、食器の数も把握できておらず、トイレの設置も出来ていないために保健所から営業許可をもらえていないという始末です。
それゆえ周りのスタッフは彼女を当てにすることを諦め、逆に団結力を強めていきます。
技術も経験もない者達が集められ、最初は皆ポンコツでどうしようもない状況に思えたけれど、いつしか最高のチームワークを発揮していく物語です。
それに加えて主人公の黒須のいい加減さと傍若無人ぶりが、作品の独創性を高めています。主人公が完全なる邪魔者になっているというのは珍しいパターンです。
まあそれが面白いわけですが。
4巻完結で、1クールのドラマにはもってこいの長さです。
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