【マンガ】『アオアシ』16巻―世界水準を見据えるということ
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『アオアシ』小林有吾 / 小学館
⇧2019年3月29日発売。
<ユース>
このマンガはユースという題材を扱ったサッカーマンガです。
ユースとは、プロの選手を育成するための組織です。
プロのサッカー選手になるには、部活の高校サッカーで活躍して年代別の日本代表に選出されて、プロにもスカウトされるというパターンもありますが、これは中々ハードルの高いルートです。
普通の高校だと設備も整っているわけではない場合もありますし、勉強もきちんと頑張らないと留年するし、サッカーだけに集中していられないからです。
その点、ユースでは専用グラウンドがあり、寮があり、専門のコーチやスタッフが何人もいて、サッカーだけに集中できる環境が用意されています。
つまり(入団試験をクリアして)ユースに入ることができれば、サッカーのエリート教育を受けられるということです。
チームメイトたちも全員レベルが高く、チームも強いので、そこでレギュラーに定着していればプロへの道も大きく開かれています。
もちろん「U-16」や「U-18」といった、年代別の日本代表選手に選ばれて国際試合を経験することも、プロとして採用されるための大きなポイントになります。
ユースに在籍していると、代表のスカウトの目に留まりやすいという利点もあります。
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<あらすじ>
前巻(15巻)から、チームのNo.2といっても過言ではない技術を誇る、桐木という選手にフォーカスが当てられています。
彼は今までもずっと国際試合があるたびに、年齢別の日本代表選手のチーム(U-18)に選出されていたのに、今回はそれが見送られる結果となりました。
代わりに自分よりも格下だと思っていた、同学年の阿久津が代表に選出されることになります。
他の主力メンバーも国際試合に駆り出され、残ったメンバーたちでプレミアリーグを戦うことを余儀なくされます。
ケガもない唯一の主力選手は桐木のみ。
そんな不安な状態なのに、監督は彼に、
「お前がチームを率いて次の試合には必ず勝て」と要求します。
小さい頃から才能を開花させサッカーの英才教育を受けてきた彼は、代表選手である自分が当たり前のことだと思っていたので、そこから外されたことがショックでした。
チームの勝利よりも自分のための試合にすることで頭がいっぱいです。
代表選手ならば追いつけるはずのパスや汲み取れるはずの戦術を駆使するも、それに付いて来れないチームメイトにイラつきます。
「なんでこのパスに追い付けないんだ!」と。
他のメンバーのチームワークはうまく噛み合ってきたのに、彼だけがリズムを壊しているように観客には見えてしまい、彼が不調なのではないかとさえ疑われます。
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<世界水準を見据えるということ>
ハーフタイムに観戦していたチームのNo.1選手である栗林に桐木は言います。
「俺達の基準は世界だ。(略)
今のチームのレベルに合わせてパスを出すことはできる。
だが、その瞬間から俺は死んでいく。
日の丸を背負うところには返り咲けない。」
彼は自分のエゴを貫くことを選択します。
チームのレベルに下げたパスを出すことは、今日のチームを助けても、明日以降の自分の心を再起不能にしてしまうからです。
監督も彼のその意志を理解していました。
「お前の理想は分かるが、味方が追いつけないなら素晴らしいパスも意味がないんじゃないか」というコーチに監督はこう答えます。
「追いつけない奴が悪いよ。
プロを目指している仲間のためにもならない。
それは他のみんなも分かっている。
自分のレベルに合わせてもらって喜ぶ選手は、少なくともうちには一人もいない」と。
ユースの上位選手たちは皆、サッカーに人生を賭けており、意識も高いです。
自分に厳しく、他人にも厳しい。
チームとして上に行くために、ほどほどで良いという妥協は許さない姿勢も共有されています。
技術にバラつきはあっても、仲間内にそういう信頼があるので、厳しく当たられても不満を持つ選手はいません。出来ない自分が悪いと考えるからです。
世界で戦うには、仲間が付いて来れなかろうと世界水準のプレーを要求し続けないといけないのです。
一度妥協して下のレベルに合わせると、自分が世界のレベルに付いて行けなくなることが感覚で分かっているようです。
そのエゴを持ち続けたまま、チームを勝たせるにはどうすればよいか。
非常に難しいことですが、それこそが一流の選手に要求されていることなのです。
トップ選手の苦しみを知ることが出来る貴重なマンガです。
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