【マンガ】『将棋指す獣』1巻—プロ棋士の価値
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『将棋指す獣』市丸いろは・左藤真通 / 新潮社
⇧2018年11月発売。
<将棋マンガ>
囲碁マンガは少ないですが、将棋マンガはたくさんあります。
『月下の棋士』『ハチワンダイバー』『3月のライオン』など数え上げたらキリがないほどです。
将棋マンガは激戦区のジャンルなのに新作がどんどん出てきます。
そして競争の激しさゆえに、面白くて切り口の斬新なものが多く作られます。
そうでなければ連載を勝ち取れないからです。
このマンガでは、女性初のプロ棋士を目指す主人公が描かれます。
珍しいパターンです。
女性が主人公の将棋マンガは、ありそうでなかったアイデアです。
さらにこの『将棋指す獣』は、キャラクターの目が良いです。
真剣勝負をしているときの目の表情の描き方がバツグンです。
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<プロ棋士になる方法>
将棋のプロ棋士とは、四段以上の人を指します。
三段まではプロとして認めてもらえません。
プロになるには、大抵はまず奨励会に入ります。
そこでライバルたちとしのぎを削る中で昇段していき、三段リーグを勝ち抜いて上位2人に入れば、晴れて四段に昇格できます。
しかし奨励会には年齢制限があるのです。
26歳になるまでに四段にならないと退会しないといけない規則なのです。
昔はそこでプロになる道は絶たれていましたが、今では特定の条件をクリアすればプロになれる道はまだ残されています。
主人公が行こうとしている道は以下の通りです。
まずアマチュアの棋戦で優勝し、プロの推薦を得る。
➡三段編入試験で二段相手に8戦6勝する。
➡三段相手に半年間三段リーグで戦って上位2位に入る。
➡プロとして認められる(四段)。
めちゃくちゃハードルが高いです。
過去このルートでの合格率はゼロです。
しかし奨励会ではダメだったけどそれでもまだ本気でプロになりたい者は、
この狭き門に挑戦してわずかな可能性に賭けるしかありません。
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<あらすじ>
主人公・弾塚光は22歳。
ゲーム会社でアルバイトしながら、将棋の勉強をする毎日を送っています。
かつて奨励会に三段にいたこともありましたが、何らかの理由で退会せざるを得なくなったようです。(理由は1巻ではまだ明かされません。)
彼女はプロ棋士になるために、アマチュア棋戦・天竜戦にエントリーしました。
目標のためには、まずはそこで優勝することが大前提です。
しかしアマチュアといっても上位層はプロ顔負けの実力者たちがひしめいています。
光と同じように元奨励会員も何人か混じっていますので、そこで優勝するのは簡単なことではありません。
そしてアマチュア棋戦は持ち時間がプロよりも圧倒的に少ないので、戦い方に微妙な違いがあり、奨励会での時間感覚で戦っていると勝つことが難しくなります。
光はなんとかトーナメントを勝ち進み、決勝戦に駒を進めるまでやってきました。
<プロの価値>
昔は将棋のプロ棋士になれば、それだけで揺るぎない価値がありました。
しかし今はAIが発達して、人間は機械に将棋で勝てなくなる時代になりました。
まだギリギリ勝てる時もありますが、いずれ絶対に敵わないようになるのでしょう。
それなのに、わざわざ人間が将棋を指す意味があるのでしょうか?
プロ棋士となってやっていくことに価値はあるのでしょうか?
僕はあると思います。
機械よりも、人と人との対決に魅了されるからです。
いくらすごくても、機械同士の対決なんて何回か見たら飽きるだろうと思います。
背後にストーリーがないからです。
弱さを抱えつつも負けられない理由を背負って戦う人の姿が、ドラマチックな対決として観客の目に映るのです。
我々は、スポーツでもゲーム対戦でも、人対人の試合に熱狂します。
サッカーの試合で、強烈なゴールをロボットが決めたところで「それで?」という感想しか浮かばないはずです。
ぷよぷよやテトリスだってまだまだ競技人口は多いです。
高速の積み込みからの10連鎖15連鎖消しなんて、AIにとってはお手のものでしょうが、人対人のときにそれをやるから面白いのです。
人が人間同士で対戦する面白さを忘れない限り、
いくらコンピュータが発達したとしても、
プロのアスリートも、プロゲーマーも、プロ棋士もその価値を失わないでしょう。
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