【小説・ミステリー】『がん消滅の罠 完全寛解の謎』―免疫を使ったトリック!
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『がん消滅の罠 完全寛解の謎』岩木一麻 / 宝島社
⇧文庫版は2018年1月発売。
<がんについて>
がんは今や、日本人の二人に一人はなると言われています。
そして三人に一人はがんで死ぬとも。
誰もががんになりたくないと願いつつも、長年、日本人の死因第1位に君臨し続けています。
恐怖の対象です。
原因や予防対策、治療法など色々な研究が世間にも浸透していて、研究者でなくとも詳しい人は大勢います。
中学や高校で生物を勉強していなくても、がんのメカニズムや人間の免疫機構だけはよく知っている健康マニアの方もおられます。
一方で、「詳しくは知らないけど何だか怖い」というだけの方もいます。
詳しく知ろうとしないのは若者に多い気がします。
がんは中年以降の病気だというイメージがあって、自分にはまだ関係がないと思っているからでしょうか?
がんは若者でもなります。
しかも若い方が代謝、つまり細胞分裂がより活発なので、がんになったら進行が早いそうです。
怖いですね。
がんは細胞分裂時のコピーミスによって起こります。
コピーミス細胞ががん細胞の元なのです。
人間の細胞分裂では、なんと毎日コピーミスが起きています。
しかし免疫機構がそれを除去しているために、がん細胞が発育しないで済んでいるのです。免疫さん、グッジョブです。
生き物のメカニズムの絶妙なバランスに驚かされますね。
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<がんを扱うミステリー>
がんに詳しい一般人の方も多いので、それを扱うとなると、中途半端なトリックや常識的(簡単)すぎる謎だと読者からクレームがつきやすいです
かと言って謎を難しくしすぎると、がんをよく知らない若者からすれば、難解な小説として受け入れてもらえません。
簡単すぎても難しすぎてもダメ。
さらにその中間もどんな水準なのかよく分かりません。
つまり世間にありふれた題材(がん)を描くのは、作品内で扱う「謎」のレベル設定が難しいのです。
学問的(生物学的)には初級編だけど、トリックには気付かれないアイデアが必要です。
がんのことを熟知しているけれど、それを分かりやすく説明できる技量も必要です。
書こうとするにはハードルが高いですね。
著者は国立がん研究センターで働いていたこともあるそうです。
だから、がんにまつわる医療や保険の細かい話にリアリティがありました。
現役の医師ではないそうですが、現在は医療系出版社に勤務されているそうです。
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<あらすじ>
日本がんセンターで働く医師の主人公・夏目。
彼は生命保険会社で働く友人から、不正受給の疑いの話を聞かされます。
夏目から余命半年という宣告を受けた患者が、生前給付金を受け取ったあとも生存しており、その後、病巣が寛解(つまり消滅)したのです。
そんな例が他に3人もいるそうです。
さすがにそれは異常だということで、調査に乗り出します。
(がんによって余命宣告を受けたあとに寛解する例は現実でもないわけではありませんが、そこまで頻発するものでも当然ありません。)
一方、かつて夏目が師事していた医師・西條がいる医療センターでは、
「再発したがんも完全寛解できる」という売り文句と実績で、政治家などの有力者たちから密かに人気を集めていました。
近所でこんなにもがんの完全寛解が起きるものなのか。
完全寛解自体は喜ばしいことだが、なぜこっそりやっているのか?
(がん治療における世紀の大発見なら、もっと大々的に宣伝して然るべきではないか?)
保険の不正受給のためにやっているとしても、がんを消滅させる方法自体は画期的なものなのではないのか。
その方法とは一体どんなものなのか?
そのトリックにはナルホドと思わされました。
生物学をやっていた人でも納得できますし、やっていなくても分かりやすい理屈でした。
規制や監視の目がゆるい海外のどこかならば、本当に出来そうな詐欺行為です。
そのうちドラマ化されそうなアイデアの完成度でした。
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