【マンガ】『シュトヘル』(1-5巻)―文字を守ることは 全てを守ること
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『シュトヘル』伊藤悠 / 小学館
現在、世界では7000の言語が使われているそうです。
しかし2週間に1つのペースで消滅していっているらしく、7000の内の半分は今世紀中に無くなるという予測があります。
西夏文字も消滅した言語の一つ。
このマンガでは西夏文字を守ろうと奮闘する少年の姿が描かれています。
復讐だったり戦争だったりいろんなことが描かれていますが、このマンガで僕が注目してしまうのはやはり西夏文字を含む「言語の絶滅」問題です。
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13世紀初頭。
史上最強のモンゴル軍に「悪霊」と恐れられた女戦士がいた。
彼女の名はシュトヘル。
蒙古に属するツォグ族の皇子ユルールは、敵国であり亡き義母の出身国である西夏の文字に魅せられた。
その義母が残した“玉音同”と呼ばれる文字盤を手に一族を捨てる覚悟を決める。
西夏を憎み全てを焼き尽くす蒙古から文字を守るため、シュトヘルと共に防衛戦に身を投じる。
彼女と、一族を敵に回したモンゴルの皇子の壮大な物語。
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なぜ西夏文字を滅ぼそうとするのか。
それはツォグ族の長であるユルールの父が、かつて西夏の奴隷だったからだ。
奴隷の証として背中に大きな焼き印を押されて、一生消えない屈辱の痕跡が残された。
背中を見られたら奴隷であった過去が周囲にバレるし、その跡を見るたびに憎悪が蘇ってくる。
もしも西夏文字がこの世から消えたら、背中の文字を読める人間はいなくなり、奴隷であったことも分からなくなる。(本人以外は)
一つの国家とともに、文字まで消滅させようとする理由としてはこの上なく納得できます。史実なのかどうかは知りませんが、これ以上の強い動機は有り得ないでしょう。
文字が世界から消えるということは、その文化、歴史、記録、記憶がすべて消滅するということ。これほどの哀しみってあるのでしょうか。
全部がなくなるってことは誰も憶えてないってこと。
自分が生きたという証、大切な人がいた形跡、あらゆる思い出、苦労して打ち建てた業績、崇高な理念、教訓、学問、技術、芸術、文化、歴史の消滅。
なんという虚しさでしょうか。
文化の虐殺は大罪だと思います。
バベルの塔が破壊されて、人々が意思疎通できなくなるように世界には多くの言語が生まれたと旧約聖書ではいわれます。
でも世界にたった一つしか言語がなかったらなんと画一的でつまらないことか。
多様性があるということが、豊かであるということだと僕は考えています。
言語の消滅を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。
自分が勉強してそれを実際に使うしかない?
英語なんて別に使えなくていいのだ。
Googleが翻訳してくれるのだから。
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