【マンガ】『月曜日の友達』(全2巻)―大人になる速度
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『月曜日の友達』阿部共実 / 小学館
⇧『このマンガがすごい!2015』オンナ編第1位獲得。
全2巻です。
<中学1年生での戸惑い>
小学生から中学生に上がったときの違和感を憶えている大人の方は、
一体どれくらいおられるでしょうか。
ここでいう「違和感」とは、小学校からの流れが途切れていて、自分の周りの世界に現実感が抱けない感覚のことです。
「教室内には知っている人もいるけど知らない人がほとんど」という状況は、入学したての中学新一年生にはなかなか緊張するものです。
これまで過ごしてきた生活から、一気に世界が広がって戸惑っているというのもありますが、小学校からの知り合いでさえ、何か変わってしまったかのような雰囲気で、彼らのテンションにすら付いて行けない子もいるでしょう。
僕もそんな子どもでした。
一学期もしばらく経った頃には、ほとんどの人にはそれなりに友人も所属グループも出来てきて、流行りのゲームやテレビ番組の話題で会話が盛り上がったりしています。
しかし、そこに参加できない人もいます。
友人が欲しくないわけじゃないけれど、彼らの話題に興味が全くわかず、自分の好きな話題には誰も共感してくれなければ、孤独感にさいなまれるのは当然の成り行きです。
自分の感覚(好きなもの)に賛同者が一人もいないと、あたかも自分が悪いかのような錯覚に陥ります。まだまだ精神的に不安定な10代前半の子どもが、そこから自力で抜け出すのは結構難しいものです。
このマンガは、そんな孤独感やモヤモヤした鬱屈をブチ壊してくれる作品です。
美男美女が出てくる爽やかな青春恋愛ストーリーとは対極にありますが、
それでも2巻を読み終えた後は、幸せな気持ちになれます。
BGMはジブリ映画『耳をすませば』版の「カントリーロード」を推奨します。
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<あらすじ>
中学一年生になった主人公・水谷茜(あかね)。
彼女は小学生の頃から身体を動かすのが大好きで、中学でも同じテンションで友人たちに野球をしようと誘います。
友人たちは中学からは部活や塾に通い始めたりして、遊びの誘いを断ります。
友人たちは、人気の恋愛バラエティ番組の話題で盛り上がっていますが、茜は興味が全く持てません。
小学生のときは普通に会話できていたのに、中学生になったとたんに大人ぶって変化していく周囲に茜は違和感を覚え、その流れに付いて行けない日常に窮屈さを感じていました。身体を全力で動かしたい衝動を持て余してもいまいた。
茜には文武両道でよくできた姉がいました。
良かれと思ってなされる姉の世話焼き行為も、茜にはうざったい干渉にしか思えず、
姉が家に帰ってくるときは、居心地が悪くなって家を飛び出します。
夜の学校の校庭に忍び込んだ茜は、そこで月野透(とおる)と出会います。
彼は誰もいない校庭で、自身の超能力を開花させる特訓をしていました。
変な奴だと思われるかもしれませんが、中学生男子という生き物は、多かれ少なかれこういう素養を持っているものです。
現実で見かけてもスルーしてあげましょう。
透は茜のクラスメートでしたが、彼は茜以上にクラスで浮いていて、友だちは誰もいないし、ほとんど誰とも話すことなく過ごしていました。
彼は特別な存在になるために超能力を身に着けようとしていたのです。
茜と透はお互いに変な奴だと思いながらも、中学生活の中での孤独な境遇に共感し合える唯一の仲間であることを自覚します。
彼らは超能力の秘密の特訓のために、毎週月曜日の夜に校庭に集まることを約束します。
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<大人になる速度>
学生時代は特に、周囲と違っていることが悪いことのような空気があります。
大多数の意見に共感できない者は、変な奴として批判されたりします。
大人ぶった同級生たちが大人の意見、大人の判断、大人の態度を強要してきます。
小学校時代の感覚を引きずっている奴は、ガキっぽい、ダサい、ダメな奴というレッテルを貼られてしまいます。
成長する速度は人それぞれなのに、少しでも遅いと、それが責められるべきことのような扱いを受けたりします。
「私ってそんなに変なのか?!」と悩む茜に対して、透はこう言います。
「(中学校という)小さな世界の中での評価なんて、そこまで意味があるのかな。
かわいいとか、バスケが上手いとか、友達が多いとか、ノリがいいとかくらいで上下が決められるだろう。君はたまたま、その枠にはまらなかっただけだよ。
別に変でもいいじゃないか。」
大多数の意見に共感できないことは、悪でもないし、責められることでもありません。
大人になる速度が遅いことも同じです。
いずれそれが「個性」という武器になるときが来る。
それを信じることが出来たら、学生時代は無敵になれます。
このマンガの最後には、二人は無敵になれました。
そんなキセキの物語です。
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