【マンガ】『友だちの話』―女子にとっての友情とは
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『友だちの話』河原和音・山川あいじ / 集英社
<友情と恋、どちらを選びますか?>
どちらかを優先するかと聞かれたら、若い人ほど前者を選び、大人(社会人)ほど後者を選ぶ人が多くなるのではないかと思います。
もちろん若い頃から後者を優先し、大人でも前者を優先する人はいます。
このマンガの主人公・英子ともえは、恋人よりも友だちを優先するという信念をもって毎日の高校生活を過ごしています。(つまり遊ぶ約束があったら、友だちの方を優先するということ。)
中々珍しいことだからこそ、マンガとしての面白さがあるのでしょう。
(ありふれた価値観を描いても、読者を引き付けるドラマとして成立しません。)
3話構成になっています。
1話は英子視点、2話は英子が好きな鳴神くん視点、3話は英子の親友のもえ視点です。
<対照的な二人だからこそ、英子ともえは親友になりました。>
英子は見た目は地味で、気が弱く何も断れない性格です。
一方もえは、見た目は美少女ですが、気が強く口調もキツイ性格です。
見た目も性格も真逆だったからこそ、ふとしたことで気が合い、それからずっと仲の良い親友となりました。
もえは美少女なので、よく男子から告白されています。
そのときにもえが相手に提示する付き合う条件は、
「自分よりも英子を大事にすること」です。
告白した男子からしたら、「え?英子?誰?」となります。
自分はもえと付き合いたいのに、英子をそれ以上に尊重せよと言われても、普通は理解に苦しむでしょう。これはもえが相手と付き合いたくないから、無茶な要求をして相手に諦めさせようとする作戦なのではありません。本気でそう思っているのです。
しかし、そんな無茶な条件を呑んでもOKな男子・土田くんが現れます。
デートも英子を含めた3人で行われます。
土田は英子にも非常に気を配った対応をしてくれます。
(何かを買ってあげるときは、もえだけでなく英子にもあげる等)
気が弱くて、他人に気を遣う英子は、その状況が土田に申し訳なく感じてしまい身を引いてしまいます。英子が寂しがっていることで、もえと土田は揉めて別れることになります。
2話以降は、今度は英子にアプローチをかけてくる鳴神くんが現れます。
英子の気の弱さにつけこんでいるのなら許さないぞ、ともえは鳴神の行動を監視します。英子が嫌がっているのに断れないようなことをするなら妨害して潰してやろうとします。
そのため、また3人行動することになります。
鳴神を悪く見よう悪く見ようとするもえと、悪気のない鳴神のやりとりが面白いですね。そのやりとりを見て結局英子が困惑するのもコントのようです。
鳴神が英子に告白したときも、英子の返答はもえと同じでした。
「付き合うなら、私よりも私の親友を大事に考えて」というものです。
<英子ともえはお互いに束縛し合っているだけなのでしょうか?>
現実の女子同士の友情ってそういう場合もありますよね。
お互いが相手に自分を最優先するように、明言はしないけれど暗黙的に要求しているような関係性とでもいうのでしょうか。
英子ももえも、そうではありません。
「自分は親友を最優先したいと思っているけど、相手は自分を優先する必要はない。
むしろ自分の幸せを優先してほしい」と考えています。
「親友が彼氏を作っても全然OK。そして彼氏を優先してくれてOK。
ただ、それでも私の最優先は親友のあなたであることは変わらない」というスタンスです。
これこそ理想の友情なのでは?
結局何が問題だったのでしょうか。
強いて言うなら、英子ともえの仲が良すぎたことです。
その強い関係性の中に、彼氏が割り込んでいくのは並大抵のことではありません。
「英子の中の好感度は、まだ私の方が勝っている」ともえが鳴神に言って、
「いつかひっくり返す」と鳴神が張り合っているラストシーンが印象的です。
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