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【マンガ】『進撃の巨人』(27巻)―悲劇は拡大していく

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『進撃の巨人』諫山創 / 講談社

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 著者は悲劇を描くスペシャリストなのでしょうか?

これ以上、皆(全キャラクターたち)につらい思いをしてほしくない一心で読んでいました。

もうこれ以上憎しみの炎を燃やさないで。

その先には悲劇しか待っていないように思えるのは、僕が先を読めない読者だからでしょうか?そうであって欲しい。

 

数週間前の「情熱大陸」で著者が最終話を描いておられました。

果たしてハッピーエンドなどありえるのかというほど、事態は混乱してきました。

それぞれの国は自国の利益だけを求め、他国を信用せず、積極的な協力もせず、ただただ自分たちが正義で、敵国が悪なのだと信じて疑わない。

エレンの目的、ジークの目的、イェレナの目的も見えてきません。

ラストに向けて、伏線を張りまくっているのでしょうが、読者からすればヤキモキさせられる巻となりました。

このモヤモヤが解消されて、カタルシスが訪れる瞬間を待っています。

 

27巻最大の皮肉は、ガビたちが命を助けてもらう展開となったことです。

サシャは何年か前に、一人でまともな武器も無い中である少女を巨人から救いました。

その少女はうまく逃げのびて成長し、サシャのような人になりたいと志すようになります。困っている(生命の危機の)子どもがいたら助けてあげる人間でいたいと。

その子供たちが偶然にもガビたちとなったわけです。

 

サシャがある少女を救い、その少女が後年、ガビを救いました。

ガビは救われた数日前にサシャを射殺した犯人なのに。

 

サシャが少女を救わなければ、ガビたちは助からなかった可能性が高い。

後に自分を殺す人間を間接的に救うことになるとは、なんという皮肉でしょうか。

サシャは何のために勇気を出して命がけで少女を救ったのでしょうか。

彼女の行為の尊さ、その価値、煌めきはどうすれば失われずに、未来に継承していけるのでしょうか。

少女はガビを改心させられるのでしょうか?

 

ガビは自国の軍国教育によってガチガチに固められた偏見を、正しい信念として行動することに微塵の迷いもありません。

まだ少女であるがゆえの、思い込みの激しさと言える部分もなくはありません。

しかしガビこそが、戦時中の人間の幼稚さ、愚かさ、見識の狭さの象徴的存在です。

 

子どもも大人も余裕がなくなり、自分が正しく、自分に敵対する者たちを悪とみなす。

相手の事情は考えられず、その姿すらきちんと見たこともない。

自分の頭の中だけで、敵への憎悪が拡大していく。

そんな人間たちが増えていく。

・・・どうすればいいのでしょうか。

全面戦争に突入するしかないのでしょうか。

 

こんなにヘビーな少年マンガはかつて無かったでしょう。

「情熱大陸」で著者は、命を削るように作品と向き合っていました。

我々読者は、この作品のラストまで目を逸らしてはならないのです。

 

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