【マンガ】『園田の歌』2巻―シリアルキラー VS 旅行者を生贄にする村
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『園田の歌』渡邊ダイスケ・永田諒 / 少年画報社
⇧2019年9月24日発売。
1巻「漫画研究会所属のシリアルキラー」の詳細はこちらをクリック
<本編を凌駕するスピンオフ>
この作品は『善悪の屑』、『外道の歌』という漫画の脇役であり悪役でもある、園田という人物を主人公にしたスピンオフ漫画です。
とはいえ、本編を読んでいなかったとしても十分楽しめます。
むしろそれを知らなくて、独立した作品だと思って読んだ方が新鮮で面白いかもしれません。
本編ももちろん面白いですが、スピンオフである『園田の歌』も同等かそれ以上に面白いです。
本編はサスペンスですが、『園田の歌』はミステリーホラーの要素が強いです。
基本的な情報は冒頭ページにまとめられているので、本編を知らなくても混乱することは一切ありません。
園田は漫画編集者という表の顔を持っていますが、裏では何件もの殺人を繰り返しているサイコパスです。
クレイジーではありますが、その普通ではない言動が面白くてクセになります。
殺人衝動を持っているわけでもなく、殺人を楽しんでいるわけでもないという点が新鮮です。
ちなみに 『善悪の屑』は全5巻で完結しています。
不健全図書に指定されたためか、Amazonで取り扱いがありません。
入手するには楽天市場かブックオフなどの中古市場を探すしかありません。
『善悪の屑』の第二部である『外道の歌』は現在連載中で、2019年9月に最新刊の9巻が発売されました。
第二部とはいっても出版社も変わっていませんし、内容の過激さから当局に目を付けられたために、タイトルを変更して仕切り直したという印象です。
内容は、法律で裁けないクズに制裁を与えるという復讐代行業の話です。
『善悪の屑』や『外道の歌』では漫画編集者として社会人をやっている園田ですが、
この『園田の歌』では彼の大学時代のエピソード(本編の6年前)が描かれています。
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<あらすじ>
主人公は後に練馬区の殺人鬼と呼ばれることになる園田夢二。
今は漫画研究会に所属している大学1年生です。
夢は漫画家になることです。
彼は殺人に楽しみや喜びを覚えるわけではなく、漫画制作のための取材として殺人をしています。
彼が最も大事にしているのは人生経験であり、リアルな体験こそが作品づくりに活かされると考えているのです。
だから誰かを殺害するときも、被害者に恐怖や絶望の表情をさせてじっくり観察することを目的としています。
園田の所属する漫研には、シリアルキラー・近野智夏もいました。
彼女は園田同じ大学1年であり、園田よりも過去の殺害人数は多いです。
いつもは内気で、漫研男子メンバーのBLカップリング妄想ばかりしています。
大学で少人数の漫画研究会に、稀代の殺人鬼が二人そろうことになったわけです。
二人はお互いに、殺人経験があることを知っています。
ある日、園田は地図に無い村(仁拘尾村)へ一人で行くことにしました。
漫画を描くための取材と好奇心のためです。
ネットの掲示板の情報では、そこには変わった風習が残っているとのことです。
彼は山中を迷いながらなんとか目的の村を発見しましたが、すでに時刻は夜になっていました。
園田は運良く村人と出会い、旅館に泊めてもらえることになりました。
夕食を出してもらいながら、彼はさっそく女将に取材を始めます。
しかし風習のことを話題に出した途端、従業員たちの口は堅くなりました。
園田は旅館での取材は諦め、夜中に村の散策に乗り出します。
すると村のはずれに簡素な小屋を発見しました。
そこには生野八重という女が隔離されていました。
その村では出産をする女性や月経期の女性を隔離する習慣があるのです。
八重は漫画が好きで、園田が漫画を描いていると知って嬉しくなりました。
そこで園田は漫画の道具(ペンや修正液)をあげる代わりに、村の風習について教えてくれるよう交渉します。
取材の結果、仁拘尾村では訪ねて来た旅行者が一人だけなら厚くもてなし、二人組なら村で信奉する神の生贄にする風習があると分かりました。
彼は偶然にも一人でやって来たので、危害を加えられなかったというわけです。
そこで園田は、大学の漫画研究会メンバーでありシリアルキラーでもある近野智夏を仁拘尾村に呼び寄せ、村の実態を暴こうと計画します。
ちなみに彼は、近野に「村では秘密のBL祭が開催されている」と嘘をつきました。
果たして生贄のターゲットとなった彼らは、村から抜け出せるのでしょうか。
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<まとめ>
普通ならパニックホラーになるような舞台設定です。
つまり大学のサークル仲間数人が山奥の村に迷い込んで、そこの村の秘密を知ってしまったために村人たちに襲われて、一人また一人と殺されていき、なんとか主人公とヒロインだけは生き残るというようなストーリーです。
そういう話の場合、主人公たちはとにかく慌ててパニックを起こします。
しかし園田も近野も、パニックになることはありません。
いざとなったら人を殺すことに、罪悪感やためらいが一切ないからです。
正当防衛なら人を殺しても情状酌量の余地があると誰もが知ってはいることですが、
それでもやはり、自分が窮地に立たされていても他人を殺すことには躊躇してしまうものです。
逆に言えば、躊躇しない人間は強いです。
村人たちは集団で襲うという数の優位に油断していますし、まさか反撃されて自分達の身に危険が及ぶかもしれないと予想していないからです。
とはいえ単純に生死をかけたバトルになるわけではなく、園田がきちんと村の風習が生まれたきっかけや悲劇を解き明かします。
1巻もそうですが、園田はシリアルキラーでありながら、探偵役でもあるのです。
パニックホラーの舞台も、キャラクター次第で全く新しいサスペンスミステリーになります。
シリアルキラーが主人公なのに、全く嫌な気持ちにならない不思議な作品です。
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