【絵本】『終わらない夜』―大人が観るべき芸術的絵本
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『終わらない夜』セーラ・L・トムスン、ロブ・ゴンサルヴェス / ほるぷ出版
⇧クリックして拡大してみて下さい。驚きますよ。(水面)
本の判型もかなり大きめです。カバンにギリギリ入りました。
<錯視>
「錯視」という言葉をご存知でしょうか?
そのまま「目の錯覚」という意味です。
シンプルで一番有名なのが、「ミュラー・リヤ―錯視」です。(以下)
下の方が横線が長く見えますよね。
上の横線と下の横線は同じ長さなのです。
「ツェルナー錯視」も見たことがある方が多いのではないでしょうか。(以下)
横線は全て平行に書かれていますが、傾いて見えますね。
他にも数多くの錯視図があります。
人間の視覚がいかに騙されやすいか分かります。
分かっていてもなお、平行に見えませんからね。
ながめているだけなら楽しいですが、日常生活でどれだけ目の錯覚が起こっているかを考えると怖くもなります。
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<だまし絵>
だまし絵というものもあります。
有名なのが以下の絵です。
若い女性が向こうを向いているようにも見えるし、老婆の横顔にも見えますね。
高校の美術の授業で初めて見たときは、老婆以外に見えなくて困惑しました。
このタイプの絵の特徴は、
「どちらか一方に見えているときは、もう一方は見えない」というものです。
つまり「同時に二通りの見方はできない」ということです。
人間の脳の認識機能がそうなっているんでしょうね。
他にはこんなのが有名です(以下)。
「ルビンの壺」と呼ばれる作品です。
二人の顔が向き合っているように見えるし、中央に白い壺があるようにも見えます。
横顔が対称であればいいので、どんな形の壺でも描けます。
学生時代に何個もバリエーションを作って描いた記憶があります。
これも同時に二つの見方はできません。
横顔に見えているときは壺を認識できないし、壺に意識が向いたときは横顔は見えていないはずです。
だまし絵で有名なのはエッシャーですね。(以下)
物理的に有り得ない構造が面白いです。
⇧水が循環し続ける永久機関。
パっと見ではおかしなところは無いように思えますが、2階と3階の向きが90度ねじれています。
分かったときはメチャクチャ気持ち悪い感じがするはずです。
錯視は「楽しい遊び」のような感覚ですが、エッシャーのだまし絵はもはや「芸術」です。
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<トリックアート>
だまし絵は今では「トリックアート」とも呼ばれ、美術館やテーマパークでも人気のジャンルになっています。
簡単なものでいうと、落とし穴のトリックアートが有名です(以下)。
ただ紙に描いただけですが、本当に穴があるように見えます。
もっとリアルに描かれた落とし穴を仕掛けるドッキリとして、
有名YouTuberの水溜りボンドさんや、はじめしゃちょーさんも動画でやっていましたね。
この『終わらない夜』の作画担当のロブ・ゴンサルヴェス氏は、トリックアートの作家さんのようです。
絵本という体裁を取っていますが、物語があるわけではなく、短い詩が書かれている程度です。実質イラスト集です。
全ページにトリックアートが描かれています。
単純に美しい絵なのですが、さらにだまし絵要素も楽しめるという素晴らしい本です。
こういう絵はどうやって考え付くのでしょうか?
まぎれもない天才絵師です。
小さい子どもには、不思議に思えてもすごさは伝わらないのではないかと思います。
むしろ大人こそ読んでみるべき絵本です。