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【マンガ】『名探偵マーニー』(全11巻)―人が死なないミステリー

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『名探偵マーニー』木々津克久 / 秋田書店

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<ミステリーと殺人事件>

ミステリーと殺人事件は密接なつながりがあります。

なぜ多くのミステリー作品が殺人事件を取り扱うのでしょうか?

 

作り手の立場で考えると、人が死んだ方が、大抵の登場人物は犯人や動機や手段が本気で気になって、殺人事件を中心にして行動・思考するようになるので、物語を作りやすくなるからです。(全員の行動指針が大体同じ。)

どうでもいいようなささいな謎だと、それに無関心・興味が無い人物の行動は気まぐれになりがちなので、物語をうまく転がしにくくなります。

とはいえ、ささいな謎に皆で真剣に取り組んでいるのは不自然です。(リアリティがない。)

大抵の誰もが興味を示すのは、ささいな謎ではなく、衝撃的な事件の方です。

テレビのニュースでもそうですよね。

 

それは読者の立場でも同じことです。

日常のささいな謎を題材にした物語は、読者の誰もが興味を持つものではありません。

興味が持てないものは、つまらないものです。

つまり、衝撃的・刺激的な事件を描いた方が、多くの読者の目を引いて興味を持ってもらえる可能性が高いということです。

最大公約数的な読者層を狙っているといえます。

ミステリーで殺人事件を扱うことは、「安パイ」(安全策)なのです。

 

<人が死なないミステリー>

けれども、殺人事件ばかりだとうんざりしてしまうのも人情です。

そもそも、人が死ぬ話を読みたくないという方も一定数おられます。

 

そんな方々を対象に(?)、人が死なないミステリーも書かれるようになりました。

『名探偵コナン』や『金田一少年の事件簿』では大抵、人が死にますが、

『Q.E.D』(加藤元浩)では、半々です。(1冊のコミックに2話収録してあり、片方が殺人事件で、もう片方は人が死なないミステリーです。頑なにこのスタイルを維持しています。著者のこだわりでしょう。)

 

そしてこの『名探偵マー二―』では、人が死ぬ事件は一切起こりません。

人が死ななくても、これだけ魅力的な謎が世間にはあふれているんだという証左です。

 著者の描き方が上手いというのもありますが。

 

人が死なないけれど、読者が気になる謎というのはどういうものなのでしょうか。

 図書室の本の盗難事件、町の壁の数か所に描かれたラクガキの犯人とその意図、

アパートの事故物件の怪現象、盗撮犯の手口、学校の校舎内に現れるモンスターのウワサ、教師や先輩、クラスメートからの人探し依頼など本当に様々です。

どれも面白いです。

 

<著者のこだわり?・・・一話完結方式>

主人公・マーニー(あだ名)は女子高生。

父親が探偵をやっている影響か、彼女自身も私立探偵として、高校生活を営みながら、主に学校内で依頼を受けています。

 (「日当5000円。経費は別で。マーニーにおまかせを」が依頼受諾時の口癖。)

 

昨日の『名探偵コナン』の記事で

「ミステリーマンガは大抵、数話かけて一つの事件を描く」と書きましたが、

この『名探偵マーニー』では違います。

全く対照的なのですが、すべて一話で完結する方式で描かれています。

「人が死なない」のも、「一話で完結させる」のも、従来のミステリーと真逆です。

他のミステリー作品と差別化するための戦略でしょう。

読者は一冊でいくつもの事件を読めるので、なんだかお得感があります。

一つ一つが本当によく出来ていて面白いですしね。

 

さらに「トリック」よりも「犯行の動機」に焦点が当てられている場合が多いです。

コナンでは殺人の馬鹿らしさを示すために、あえて馬鹿らしい動機にしていると

著者の青山剛昌氏がどこかで言っていたそうですが、

『マーニー』では、一見特異な動機に思えるのですが、「でも、現実でもありうるだろうな」と思わせる怖さがあります。

 

 一話完結なので、何巻から読んでも楽しめますよ。

 

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