【マンガ】『ボイスラ!!』1巻―声優という理不尽な世界
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『ボイスラ!!』OCTO / 講談社
⇧2019年5月17日発売。
月刊少年マガジンで連載されています。
<声優のなり方>
アニメや映画の吹き替えやナレーショの仕事としている「声優」は、どうやってなるのかご存じですか?
放送予定のアニメ作品があって、その登場人物の声をあてる人をオーディションで決定するということは、何となく知っておられる方も多いと思います。
しかし、誰でもそのオーディションを受けられるわけではないのです。
(原作がファンなだけの素人が大勢集まっても意味がありません。)
オーディションはプロの声優しか受けられません。
その「プロ」になるにはどうすればいいのでしょうか。
その答えは単純です。
どこかの事務所所属になればいいのです。
そうすればプロの声優としてみなされます。
ただ、何の経験もない者でもいきなり事務所に入れるわけではありません。
まず声優の養成所か専門学校に入らないといけません。
そこでも入所オーディションがあって、合格しないと入れません。
それから進級オーディションや卒業オーディションを突破して、ようやく「事務所預かり」となります。
その次のステップではじめて「事務所所属」になれます。
プロへの道のりは、かなり遠いのです。
この漫画は、素人の少年が声優養成所に入ってステップアップしていく物語です。
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<あらすじ>
主人公は高校1年生の獅子吼灯士郎(ししく・とうしろう)。
彼は見た目はヤンキーであり、声が低いことから学校でも街中でも皆から怖がられています。
しかし実際は学校に遅刻もせず、毎日早寝早起きをして妹の弁当まで作ってあげている真面目で優しい男です。
ある日、登校中に友人の豊満から声優養成所の入所オーディションについてきて欲しいと依頼されます。
(※豊満は声優を目指しており、無断で灯士郎の分も応募していた。)
最初は断った灯士郎でしたが、豊満の持っていたパンフレットに興味を持ちます。
そこには「ボイス アーティスト プラチナム」の賞金が1000万円だと書いてあったからです。
「ボイス アーティスト プラチナム」とは声優版のアカデミー賞であり、
その年、一番活躍したと思う声優を完全ユーザー投票で決めます。
そこで1位に選ばれれば、副賞で1000万円もらえるのです。
妹思いの灯士郎は、妹が本当は美大に行きたいが金銭面の理由で諦めようとしていることを知ります。
彼は日々のバイト代を貯めても生活するので精一杯でしたが、1000万円あれば美大に行かせることができると考え、オーディションに参加することにしました。
無事、入所オーディションに合格した灯士郎は、毎日レッスンに通います。
灯士郎は滑舌が素人レベルでしたが、腹筋は鍛えられており、良く通る声も持っていました。何より「色聴」という、音が色を伴って聞こえる共感覚の持ち主であり、それを武器にレッスンに食らいついていきます。
ある日、プロでもない彼らのもとへ、チョイ役をもらえるチャンスがやってきます。
条件はバク宙ができること。
仕事内容は、ミュージックフェスのライブイベントでVTuberのモーションキャプチャーを演じることでした。(※声も容姿も必要ない)
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<まとめ>
声優は「本当に実力があるかないか」を数値化して正確に判断できません。
容姿や人気で仕事の有無が決まる不公平な世界です。
真面目に努力してきた者ほど、その理不尽さに納得がいかないはずです。
この漫画でも、養成所の新人がチョイ役がもらえる基準は、声や演技力とは関係ない部分(バク宙ができるかどうか)で決まってしまいました。
声優としての訓練を重ねてきた者たちは不満を漏らします。
しかし養成所の講師は彼らにこう言いました。
「言いたい事は判る。
ド素人が急に大舞台に抜擢される理不尽・・・不公平だ。
でもお前たちがデビューしてオーディションに臨む時、そこには理不尽や不公平が一切ないと?
養成所でもデビューしてからも不公平しかない!
お前たちが入ろうとしているのは、そういう世界なんだ。
今回選ばれなかった者が出来るのは、次の機会を待ちながら、日々声と自分を磨いていくことだけだ。」
努力がすべて報われるべきという考え方こそ、実は甘えなのかもしれません。
仕事の理不尽さ、あるいは仕事を獲得するとはどういうことかを考えさせられる漫画です。
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