【マンガ】『鬼の又鬼のアモ』(1巻)―わたしは神を許さない
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『鬼の又鬼のアモ』多田乃伸明 / 講談社
↑2018年9月発売
敵は強大すぎるくらいで丁度いい。
相手は神。どう考えても最強の相手でしょう。
エンターテイメントとしてはそれくらいの無茶ブリがあっていいと思います。
神を倒すという挑戦は、山田正紀のデビュー作であるSF小説『神狩り』を思い出しますが、このマンガとは設定が全く違います。
↑新装版が2010年に出ています。早川書房。
女性が山に入ると神の嫉妬を買って獲物が獲れなくなると信じられていた時代。
主人公・アモ(少女)は幼馴染のマンザ(少年)と共に密かに山へ入って獣を狩っていました。子どもながらに、二人の銃の腕はかなりのもの。
ある日、マンザが神の使いの巨大なオオサンショウウオに喰われてしまいます。
山の神は傲慢で好色な女で、気に入った人間の男を見つけては戯れに誘拐し拘束し、命を弄ぶことを繰り返してきました。
一時は殺されたかに見えたマンザが実はまだ生きているかもしれない可能性が生まれ、アモは彼を救うために神と対決することになります。
書店で表紙に惹かれてジャケ買いしたのですが、どこかで見たことがある絵柄だなと思ったらマンガ『70億の針』の著者と同じだったことを後で知りました。
←2008年出版。メディアファクトリー。
『鬼の又鬼のアモ』も『70億の針』も背景がしっかり描かれていて、画面に手抜きは一切見られません。描きたいものが明確にあり、1コマ1コマ丁寧に作り込むという誠実さが伝わってきます。週刊連載では出来ない絵のクオリティーです。
剣の腕に覚えのある素浪人の男も脇役として登場します。
彼も息子を神に誘拐されて、奪還のための旅を続けていたのでした。
彼は言います。
「神は嫌いじゃ。神は我々の味方ではない。」
神というのはそもそも人間の味方なのでしょうか?
人間を守るべきなのでしょうか?
人間の都合などお構いなしに、気まぐれに親切になったり横暴になったりするのが神という迷惑な存在なのではないでしょうか?
そういう意味では自然災害そのものです。
人間には理解できない所業こそ神たる所以でしょう。
奪われた肉親を返してくれと願ったところで、(このマンガの)神は聞く耳を持たないでしょう。
我々人間の必死さ・真剣さを神はいつだって嘲笑う。
しかし、一人の人間として神の戯れに振り回されて生きていたくはないものです。
神にすがるな。
神に祈るな。
BUMP OF CHICKENの藤原基央さんの名言を思い出せ。
「神に誓うな、己に誓え」
大切な人は神に救ってもらうんじゃない。
自分が救うんだ。
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