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【小説・SF】『ニルヤの島』—死後の世界という概念がなくなった

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『ニルヤの島』柴田勝家 / 早川書房

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↑2014年出版。第2回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞。

 

日本人は宗教信仰習慣が薄いので、外国人と比較すれば「神」や「天国」、「地獄」、「死後の世界」などを本気で信じている人は少ないはずです。

でも物語などでそういう概念や信仰の対象があるということは知っています。

マンガや映画などを観た経験などから、そのイメージ画像を想像することも一応は可能です。「なんとなくこんなもの」というイメージは個々人が持っているはず。

 

この小説では日本や世界から「死後の世界」という発想が消えます。

イメージできないし、する必要がなくなるのです。

 

----(ストーリーと設定)----------------------------------------------------------------------------

「生体受像」というシステムを体内に埋め込み、人生のあらゆる瞬間をデータ化する。

必要ならばそれを読み出せば、記憶は鮮明に再生されるし、永遠に劣化しない。

死んだ妻、父、母、祖父母、息子、娘のあらゆる思い出が保存されたまま。

自分が死んでもデータが保存されているので、生者からしたら死者は死後の世界で暮らしているのではなく、データとして存在していることになる。

 

 人類の大半はこのシステムを受け入れ、宗教や死後の世界が否定された。

だがミクロネシアの島々では、死者は死んだ後は「ニルヤの島」に行くという信仰(モデカイト)を持ち、葬式(死者への送別儀式)が行われていた。

 文化人類学者・ノヴァクはその地を訪れ、様々な死生観に触れることになる。

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死後の世界はあるのか無いのかという議論が物語ではなされます。

魂はあるのか無いのかと聞かれたらどうでしょうか?

 

「死ぬ直前と死んだ後で死者の体重を計ったらわずかに軽くなっていた。

それは魂が抜けたから。魂にも質量がある。」

という科学?実験のエピソードは有名ですが、

物質的に魂が存在するのかどうかは疑問です。

でもあってほしいですよね?

「あるでしょ!そりゃ!」と言う方はどうやって証明しますか?

 

ノヴァク教授や現地案内人は死後の世界を最初は否定していましたが、

島の有力者へと祭り上げられて人々の営みを見ているうちに、

死後の世界を信じたくなってきます。

「いや、無いんだってことは分かっているけどあってほしい」というアンビバレントな感情が後者に傾いた時・・・その姿を目にします。

死ぬ直前に走馬燈のように幻視する―それが死後の世界。

 

信じようとする者の目の前だけに現出するもの。

宗教や神というのはそういうものなのかもしれません。

 

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