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【歴史】『円の誕生 近代貨幣制度の成立』―円はいつできた?

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『円の誕生』三上隆三 / 東洋経済新報社

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↑講談社学術文庫に収録され直したようです。

 

祖父母の実家に帰省したときに旧紙幣(100円札とか)がどこかから見つかりました。

少しくらいは残しておきたいものの、同じものが何枚もあっても仕方ないですね。

どうせ普通に使えやしないし。

どこで換金したらいいものか・・

そういえば・・・「円」っていつできたんだろ?という疑問に至りました。

 

江戸時代は「両」だったのは時代劇とかで知ってはいるものの、いつ切り替わったのでしょうか。すんなり行ったのでしょうか。

 

通貨のデノミネーションは死ぬほど面倒くさくて煩雑であろうことは素人でも想像できます。昨日まで使っていた「円」が明日から別の呼称になって、単位も変更になったら混乱して仕方ないですよね。新しく硬貨や紙幣も大量に作り直す必要があります。

どれだけ時間と労力と費用がかかるのか分かりませんが、大変なことは分かります。

一般大衆への啓蒙活動も大事だし(貨幣を更新しても国民に認知されていなければ意味がないし、それを皆が使ってくれないと自国通貨ではなくドルが流通してしまう。)、

大衆に認知されても、受け入れて実際に使ってもらわないと意味がありません。

我々は今、当たり前のように10進法で通貨計算してますが、昨日まで4進法だったのにいきなり今日から10進法で計算するのは面倒だし使いにくくて嫌だと思うはずです。

 

現在: 1円=100銭=1000厘

江戸時代:金1両=4分=16朱・・・・・めんどくせぇ!

 

明治4年に「円」ができたそうです。

しかし翌年に火災によって関係史料が焼失したそうです。なんじゃそりゃ!

しかし著者は膨大な史料を渉猟し、事実を推理していきます。

 

この本の中盤までは江戸時代の金貨や銀貨の交換レートや硬貨の中の含有量(金や銀がどれだけ使われているか)を徹底的に調べていきます。

もう狂気的なくらい詳細なデータが記載されています。

よくもまあ、これだけ調べ上げたものです。クレイジーです。

 

金貨って小判のことでしょ?と思っていたら、死ぬほど種類がありました。

銀貨も同様です。時期によって銀の含有量が全然違います。

まあ鉱山から掘り続けたら徐々に産出量が減ってくるのは当然のことです。

「悪貨は良貨を駆逐する」というフレーズで有名なグレシャムの法則通りに、

どんどん貨幣の質は劣化していってます。

 

関東では金貨が、関西では銀貨が主要通貨として流通していたそうです。

統一しとけよ!

今も昔も、関東と関西は張り合っていて相容れませんねぇ。

 

幕末にペリーが来航して開国を迫られ、明治政府がアメリカと条約を結ぶにあたって通貨の交換レートの取り決め交渉もありました。

当時の日本の銀のレートが世界基準よりも割高になっていて、海外に日本の銀がめちゃくちゃ流出してしまったことは有名ですが、明治政府がマヌケだったわけではないことが述べられています。

軍艦の圧力でもってアメリカは無茶な要求をしてきて、それをバカ正直にのんでしまったように言われがちですが、そうではなかったのだと。

世界情勢にまだまだ遅れをとっていた日本ですが、無知は無知なりに交渉が締結したあとも抵抗を続けてアメリカの手を焼かせたようです。

通貨のデノミもその戦略の一つで、時間稼ぎをしたり屁理屈をこねて嫌がらせをして条項を回避しようと努力したのです。

やるじゃないか!日本。

 

現在(2018年10月19日)、再び日米通商協議が行われようとしています。

アメリカはドル高を嫌って、日本に円安の流れをやめるよう圧力をかけてくると懸念されています。協議によってこれが現実のものとなれば、ドル円や日経平均は大きく下落するでしょう。

アメリカの要求を鵜呑みにするような愚策だけはやめていただきたいものです。

 

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