【哲学】『100の思考実験』—ドキドキ二択クイ~ズ!
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『100の思考実験』ジュリアン・バジーニ / 訳:向井和美 / 紀伊國屋書店
『HUNTER×HUNTER』1巻に、ハンター試験会場に向かう途上で関所を通過するシーンがあります。そこで長老的な老婆によってクイズが出されます。
正解したらここを通してやると。
このクイズこそが「ドキドキ二択クイズ」です。問題は以下。
「お前の母親と恋人が悪党につかまり一人しか助けられない
①母親②恋人どちらを助ける?」
モブキャラは「そりゃぁ母親だぜ。恋人はまた作ればいい」と回答し、ハズレの道に通されて死ぬことになります。
レオリオはこの問題を出す老婆にブチギレて殴ろうとします。
「この問題には答えられない(ゆえに沈黙)」が正解でした。
この本ではこういった即断できない道徳的、倫理的なクイズが100問用意されています。イギリス発のロングセラーで、小学生からでも読める内容です。
楽しみながら生命倫理や哲学の入門書として使えます。
日本人はこういう問題について他人と議論するのを嫌いますよね。
小学生だったら「友達と議論するのは険悪な空気になるから嫌だ」と思ってしまうのではないでしょうか。国民性ですかね。
大人なら「不謹慎だ」とでも言って議論を避けるのでしょうか。
いやいや、ただのクイズですよ。
「あらゆる残酷な空想に耐えておけ。現実は突然無慈悲になるものだから」と老婆が言うとおりです。
議論を楽しむのが苦手な方も、本を読んで問題を考えるだけであればハードルが低くなるのではないでしょうか。自分ならこう考えるなと意見を持っておくのは大事です。
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たとえば28問目「義務を果たすとは」
A、B、C、Dの4兄弟は世界中を旅してまわる間、全員が定期的に手紙を書いて様子を知らせることを母親に約束した。
Aは手紙を書いたが、投函をいつも他の人たちに頼み、その人達は誰も投函しなかった。だから母親は一通も手紙を受け取れなかった。
Bは手紙を書き自分で投函したものの、もう使われなくなったポストに入れてしまい、おまけに切手の料金不足や他のミスもあったため、一通も届かなかった。
Cは手紙を書き毎回投函したものの、いつも郵便システムの不備に見舞われて一通も届かなかった。
Dは手紙を書き毎回投函し、そのうえ電話で短いやりとりをして手紙が到着したかどうか確認した。それなのに一通も届いていなかった。
A~Dのうち、母との約束を果たした子はいるといえるだろうか?
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結果として、全員手紙を書いたのに誰の手紙も届いていません。
義務を果たしたと言えるのは誰でしょうか。
大人の社会になるほど、結果が求められます。
自分ができる範囲の努力(注意を払う、確認作業をする)をやってなお義務を果たせなかったならば、世間的には「そこまでやったのなら仕方ない」と同情の余地はあるかと思います。
まあ会社に許してもらえるかは別問題ですが。
逆に子どもの社会になるほど「いや、手紙は書いたんだから義務は果たした。自分は悪くない」という言い分が出て来ると予想されます。
人によって答えが変わってくるのが面白いですね。
どこのページから読んでも問題ないですし、クイズ感覚で哲学ができるんだから楽しいですよね。売れ続ける理由がよく分かります。いい本です。
対象年齢はありません。何歳の方が読んでも面白いはず。
僕は寝る前に1問ずつ読んでいます。