【哲学・思想】『リヴァイアサン』―社会契約による国家の成立
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『リヴァイアサン』トマス・ホッブズ / 訳:角田安正 / 光文社
岩波書店からも出ていますが、古そうなので新訳の光文社版を買いました。
中学のときにうっすら習った記憶があったのですが、小説だと思ってました。
リヴァイアサンというのは旧約聖書に出てくる海の怪物だそうです。
国家というものをリヴァイアサンに例えたものである。
・・というのが作品の事前知識としてありました。
ですので、リヴァイアサンというのはゴジラ的なストーリーなのかなと思っていました。(海からザバーっと登場し、人々を恐怖させ街を蹂躙する。)
姿としては『ワンパンマン』の深海王をイメージしてました。
なんと1ミリも小説ではありませんでした。
完全に自分の思い込みに騙されました。
13章くらいまでは、著者が鼻糞でもほじりながら書いてるのかと思えるような雑で粗い理屈の文章でしたが、急にエンジンがかかります。
14章の自然権の説明から難易度が上がって面くらいました。
「もう前半部分いらないのでは?」とすら思っていました。
現代中学生にも失笑されるレベルの理屈しか書かれていないからです。
「いくら偉大な著作として現在まで読み継がれてこようと、所詮は400年前の古臭い理屈に過ぎないな。馬鹿馬鹿しい。」と完全にナメ切っていた頃に、
いきなりアクセルを踏み込まれた感じです。
最初から本気出して書けよ!
人間は何も制約が無い(「自然状態」と呼ばれる)と争い合う存在である。
自然状態のままだと「万人の万人に対する闘争状態」から抜け出せない。
それは平和や生産活動を妨げるので社会が成り立たないし、進歩しない。
人間は生まれ持って自分の好きなように生きる「自然権」を持っている。
しかし皆が自然権を全開で発動させたら闘争状態になる。(権利同士がぶつかる。)
「社会契約」によって社会を組織し機能させるために、社会の中で生活するのであればある程度自然権を放棄しなければならない。
社会契約を皆に遵守させようとすれば、強大な権力が必要だ。
契約を破る者には、不正によって得られる利益と比べたら割に合わない罰を与え、社会の中で生活するには契約を履行する方が誰にとってもお得だと思わせられる存在――
つまり国家が必要だ。
・・・という内容でした。
2018年に生きる我々からすれば、当たり前のことを言っているように聞こえます。
こんなことをわざわざ本として出版しないといけない程、当時のイギリスは混乱していたのでしょうか?
この本が賞賛されて受け入れられる程、当時の世界情勢はグチャグチャだったのでしょうか?
「タイムマシンがあったら過去に行ってみたい」とよく言われますが、
こんな基本的な概念さえ一般に浸透していない時代なんて怖くて行きたくないです。
現代に生まれてよかった~!