【新書】『語学で身を立てる』―生半可な覚悟ではプロとして通用しない
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『語学で身を立てる』猪浦道夫 / 集英社
15年前に出版された本なので、業界事情は現在とは変わってしまっているかもしれませんが、本質的なことは変わってないと思います。
語学を勉強しようとする人が、
・どういう目的・目標があって勉強しようとしているのか。
・自分が語学習得レベルのどのあたりにいるのか
・その上でどういう学習法が適切か
きちんと把握しておくことが重要だそうです。
そして各段階ごとにこういう勉強法があるよと解説しておられます。
また、間違った(不適切・不効率な)勉強法についても書かれています。
日本人が外国人教師をありがたがり過ぎる傾向にも警鐘を鳴らしています。
語学で身を立てるには、翻訳系、通訳系、教師系という3種類があるそうです。
多くはピアニストや作家と同じ、自身の技術とセンスを売りにするフリーランス。
とにかくハードルの高い仕事なのだと本書から教えてもらえます。
著者は高度なスキルを持っておられるようで、中途半端な覚悟で業界に入ってくる者や低スキルで教師をやっている迷惑な者を許せないような印象を受けました。
まあそれは自身の語学スキルを使って仕事として成り立たせようとする者に対してのことです。
僕のように何となく「外国語を勉強し直したいな」と趣味レベルで思っているだけの人たちにはここまで厳しい覚悟はいらないはず。
でも、読んでいて怖いというか耳が痛いことばかりです。
今ではgoogle翻訳などの翻訳ソフトが年々進化しているので、それさえ使えば外国語のサイトでも大意は十分つかめますよね。
15年前の段階(出版当時)ですら「イタリア語⇔フランス語」といった欧州の国同士ならそれなりに翻訳機能は出来ていたらしいので、現在はほぼ完璧なのでは?・・と推測します。
言語体系が違うので「欧州語⇔日本語」の翻訳は難しいそうです。
現在google翻訳で「英語→日本語」にする分には文意の理解にはほとんど問題ないように感じます。あと10年もかからずに綺麗な翻訳が可能になるような感触です。
そうすると翻訳の仕事がなくなるのでしょうか。
囲碁や将棋は純粋に論理的なゲームなので 、いずれは人間がコンピュータに勝てなくなる時が来るだろうとは思います。
しかし言語というのは、文化、歴史、地域性、情勢、政治など時代によって流動的なものなので、コンピュータが完璧な翻訳が出来る日が本当に来るのか疑問です。
YouTubeのコメント欄で外国の方が翻訳ソフトを使って?日本語でコメントされているのを見かけたりしますが、たった数行の簡単な文章なのに日本語として不自然な文体になってしまっていますよね。
「外国語→日本語」の翻訳が自然に読めるレベル(ネイティブにも違和感を与えない)にするのは世界的に見ても難易度が高いのでしょうね。