【ノンフィクション】『太陽を創った少年』―ギフテッドの教育法
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『太陽を創った少年』トム・クラインズ / 訳:熊谷玲美 / 早川書房
核融合炉を10代で作ってしまった少年・テイラーのドキュメント。
自伝ではなく、ノンフィクションライターによる取材の結果の著作です。
<天才児の親の心構え>
ギフテッドと呼ばれる天才児たちは、ただ知能が高いだけではその才能が発揮されません。好奇心の強さ、度重なる失敗にもめげない粘り強いメンタルや、社交性といったコミュニケーションスキルなどの本人の人格的な資質も、成功には不可欠です。
さらに本人の資質以外にも、両親の協力が不可欠です。
子供には経済力もないですし、移動手段も限られています。
両親が子供の好奇心ややりたい事に妥協せずに積極的に協力してあげることが重要です。
例えば、多くの親は「恐竜を飼いたい」と本気で言う子供に対して、図鑑やプラモデルを買って納得させようとするし、多くの子供もそれで我慢しなきゃと思うようになります。
イグアナを買ってきたり、化石を掘りに行こうとする親は非常にまれです。
テイラーの両親は息子に非常に協力的でした。
放射線のリスクに怯えながらも「安全管理を徹底させるのなら」と、放射性物質の収集許可を与えます。
専門家も呼んで、息子が本当に安全管理できているのか鑑定してもらいます。
まあ親が裕福でないと、ここまで自由に教育に注力できないかもしれません。
しかし裕福な親が、「子供に適切な教育はどういうものか」と真剣に考えてそれを実行しているわけではありません。
親がどれだけ子供について真剣に考えているかの方が、経済力よりもはるかに重要だと思います。
<天才児の才能を開花させるには>
そして、個人の資質が完璧で、両親が協力的でもまだ才能は発揮されるとは限りません。
通っている学校の教育方針が子供に合っていないと、才能の芽を潰してしまうことになります。
すべての学校が、ギフテッドに対して適切な加速教育を実施出来ないのは誰もが知るところです。
とにかく子供は授業に退屈し、鬱になってしまう子もいるのだとか。
(※想像してみて下さい。
我々が高校3年生の数学の授業で、「1+1」や「2+2」の計算だけを毎日延々と強要させられたとしたら?簡単すぎて気が狂いそうになりませんか?こんなこといつまでやらなきゃいけないの?と絶望するでしょう。)
適切な加速教育を行っている学校に転校するためには、ほぼ間違いなく引っ越しをして親しい友人たちと別れ、新しい環境に適応しないといけません。
これは子供には(大人でもそうですけど)多大なストレスです。
さらにテイラーのように、本格的な実験をしようと思ったら、専門家のアドバイスが必要だし、施設や機材も個人では入手困難なものもあります。
自分の歩む道をサポートしてくれる存在、いわゆるメンターが不可欠になってきます。
これらがそろって初めて、ギフテッドの才能が開花できるのです。
つまり、世の中には早熟の天才たちが一定数いますが、実際は才能をもった子供たちはもっと大勢いて、周りの環境がそれを阻害していることが多々あるということです。
子供たちは、多くのものに恵まれないと才能を開花させるのは難しい。
だからこそ教育方法の重要性が叫ばれる。
子供たちの才能の芽が摘まれてしまうことを著者は危惧されていますが、それを抜きにしても、単純にテイラーが次々と階段を駆け上がっていく様を読むのは爽快でした。
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