【新書】『政治的思考』―政治家のことは嫌いになっても、政治のことは嫌いにならないで下さい
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『政治的思考』杉田敦 / 岩波書店
政治について考えるいあたって踏まえておくべき前提を整理して、平易な文章で説明してあります。
めちゃくちゃ分かりやすい。
過去の思想家・理論家の名前やカタカナ用語、専門用語を一切使わないよう努めてくれているので、鬱陶しさがゼロです。
著者の格好をつけようとしない姿勢、あるいは大衆をむやみに批判しない姿勢は非常に好感が持てます。
評論家はとにかく自分の文章でカッコつけがちです。
カタカナ用語、専門用語を散りばめ、過去の有名な思想家の著作をやたら引用したり(こんな難しい本も読んでますアピール?)、読者の理解を阻もうとしているかのような自分勝手な書きっぷり。
大した信念もなく、本を出版できたというだけで悦に入り、自分の文章を理解できる奴だけ理解してもらったらいいという突き放した姿勢で凝り固まった頭でっかち。
この本は、そんな卑小な奴らとは対極に位置します。
多くの人に分かってもらいたい、届けたいという著者の誠実さが伝わってきます。
難しいことを分かりやすく説明することこそ、非常に重要で高い技術が要求されます。
そしてそれを貫徹できるのは、著者の強い信念があるからこそ。
大衆に政治についてもっと理解を深めてほしいという。
日々、テレビ越しに目にする醜悪な政治家の姿に絶望し、誰もが政治に無関心になってしまいそうになります。(甘い汁を吸う支持団体は別だが。)
「政治」の本質について知りたいすべての方へ届いてほしい本です。
それはテレビを見ていては絶対に分からないことです。
日本や政治家に絶望する前にご一読下さい。
めちゃくちゃいい本でした。