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【小説・SF】『モナドの領域』―神以上の存在との対話

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『モナドの領域』筒井康隆 / 新潮社

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筒井康隆氏が天才だということについては論を俟たない。

 凡百の作家とは一線を画する発想、ストーリー展開、構成、手法、キャラクター。

ベテランの円熟味を出しつつ、奇抜なアイデア、楽しい文体が読者を本から離れられなくさせてくれます。

 

最初はよくあるバラバラ殺人事件のミステリーかと思いきや、とあるベーカリーでの日常を描いたストーリーに変わり、その後は分類不能なジャンルへと進みます。

『文学部唯野教授』を彷彿とさせる展開。そしてメタ小説へ。

自作の『時をかける少女』をネタにしたラストのネタには声を出して笑いました。

(声を出して笑ってしまう本は中々出会えないものです。個人的感覚としては150冊に1冊くらいの割合でしょうか。)

 

神(以上の存在)がある日突然、ある人間に憑依して日常生活を送る―というギャグのような設定です。実際、全編を通してどこまでが本気なのか疑わしい展開。パンを作ったり、ひとたび話し出せば、周囲の人達は驚愕と称賛を示し、心酔する者が増えていく。

このアイデアを思いついてもそれを小説として書ける作家はごくわずかでしょう。

著者の広大で深淵な教養・知性と長年培ってきた技術があってこそ、この設定は見事に活かされているのです。

 

神以上の知性を描き、読者に理解できるように説明するのはとてつもなく難しい。

それだけでも天才なのですが、小説としてめちゃくちゃ面白い。

しかも著者は5~7割くらいの力でこれを書いているような印象を受けました。

文章に肩の力が入っていないのはもちろん、余裕すら感じられます。

恐ろしい・・・。

 

文庫化を待っていたのですが、待ち切れずにとうとうハードカバーで読みました。

読んでよかったです。

 

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