紙の本を読みなよ

主に読み終わったマンガ、小説、その他の本についての感想です

【ノンフィクション】『あらかじめ裏切られた革命』―皆、ただ今日を生き延びるのに必死なだけなんだ

『あらかじめ裏切られた革命』岩上安身 / 講談社

PSYCHO-PASS サイコパス』で槙島聖護が読んでいたので、気になって探してみたら絶版でした。

絶版だったので図書館で借りて読みました。

ものによっては、絶版だった場合、中古を探すよりも図書館の倉庫に眠っていて、司書の方に探してもらったら一発ですぐ読めるものがあります。

絶版だけどなんとかして早く読みたい場合は図書館が強いですよ。

 

ノンフィクションというかドキュメンタリー。

著者が非常に丹念に取材を重ねて書かれています。すごい。

取材の駆け引きもすごいし、洞察力・分析力も素晴らしい。

メチャメチャ濃密な政治小説を読んでいるかのよう。

 

当時のソ連は、どうしようもないくらい汚職、賄賂、暴力がはびこっていて、民衆は死ぬほど貧困に喘いでいて、権力者に失望している。他勢力・他国を騙し、自分たちの都合のいいように法も制度も歴史も主張も捻じ曲げる。嘘とプロパガンダを振り撒き、真実を暴こうとする者は暗殺する。

責任感もモラルも、恥という概念もない。

ただただ権力と金を求めて争い合う、カオスのような場所。

警察も軍も、裁判官も全くアテにならない腐りっぷり。

 

ロシア人が根本的にダメだと思いそうになりますが、そういうことじゃない。

共産主義がダメというわけでもない。

権力者が幼稚だったとか、社会システム考案者たちが無能だったというわけでもない。

誰が悪いと言って、スケープゴートを見つければいいわけじゃない。

何か一つに根本原因を当てはめることができない程、カオスと化していた。

軌道修正がもう誰にもできない状況だった。

 

ただ、明日の生活も命も分からない状況下で、皆(大衆も権力者も)がそれぞれ必死に生き延びようとしただけ。

 

SFのディストピア小説を読んでいるかのようでした。