【ノンフィクション】『あらかじめ裏切られた革命』―皆、ただ今日を生き延びるのに必死なだけなんだ
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『あらかじめ裏切られた革命』岩上安身 / 講談社
⇧1996年に出版されました。
文庫化も2000年にされていますが、絶版になっています。
入手するには中古市場を探すしかありませんが、
今Amazonで確認したら、一番安いものでも6000円以上しました。
市場価値がメチャクチャ高くなっています。
<絶版なら図書館を探すのも手>
この本は、アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』で槙島聖護が読んでいたので、気になって探してみました。
聖地巡礼ならぬ聖書巡礼です。
アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』は、近未来警察SFで超人気作品です。
人気過ぎてシーズン2の後は劇場版が2015年に公開され、
2019年の1月からは新しい劇場版「Sinners of the System」が、
3話構成で3ヶ月連続公開されています。
2019年10月からは、アニメ版のシーズン3が始まりました。
絶版だったので図書館で借りて読みました。
絶版だった場合、ものによっては中古を探すよりも図書館の倉庫に眠っていて、
司書の方に探してもらったら一発ですぐ読めるものがあります。
絶版だけどなんとかして早く読みたい場合は図書館の方が強い時がありますよ。
(Amazonの中古注文はどんなに急いでも、読みたくなった即日には届かないため)
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<丹念なドキュメンタリー>
ノンフィクションというかドキュメンタリーです。
著者が非常に丹念に取材を重ねて書かれています。すごい。
現場での取材対象の方との駆け引きもすごいし、洞察力・分析力も素晴らしい。
メチャメチャ濃密な政治小説を読んでいるかのようです。
当時のソ連は、どうしようもないくらい汚職、賄賂、暴力がはびこっていて、民衆は死ぬほど貧困に喘いでいて、権力者に失望していました。
他勢力・他国を騙し、自分たちの都合のいいように法も制度も歴史も主張も捻じ曲げます。嘘とプロパガンダを振り撒き、真実を暴こうとする者は暗殺されます。
責任感もモラルも、恥という概念もありません。
ただただ権力と金を求めて争い合う、カオスのような場所。
警察も軍も、裁判官も全くアテにならない腐りっぷり。
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<何が悪かったのか>
ロシア人が根本的にダメだと思いそうになりますが、そういうことではありません。
共産主義がダメというわけでもない。
権力者が幼稚だったとか、社会システム考案者たちが無能だったというわけでもない。
誰が悪いと言って、スケープゴートを見つければいいわけでもない。
何か一つに根本原因を当てはめることができない程、カオスと化していました。
軌道修正がもう誰にもできない状況だったのです。
ただ、明日の生活も命も分からない状況下で、皆(大衆も権力者も)がそれぞれ必死に生き延びようとしただけなのです。
SFのディストピア小説を読んでいるかのようでした。
これが現実にあったことだとは・・・。
アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』では
スーパーコンピュータによって個人の犯罪係数が測定されます。
犯罪係数とは、その人が犯罪を犯す危険性を表す指標です。
数値が低いと社会的に適正であり、
数値が高いと人格や思想に問題があり、犯罪者予備軍と見なされます。
犯罪係数の測定に言い訳は通用しません。
社会が混沌として生き延びるために手段を選んでいる場合ではない状況下
つまりソ連のような状況だったら、おそらく国民全員の犯罪係数が高めになるでしょう。
では彼らは全員犯罪者とみなしてよいのでしょうか?
結局、犯罪者かどうかなんて環境次第だということです。
槙島はこの本を読みながら、犯罪係数を測定する社会システムを嘲笑っていたのですね。
『PSYCHO-PASS サイコパス』が好きな方はぜひ読んでみて下さい。
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