【小説・ミステリー】『一千兆円の身代金』―あなたはきちんと憤れるか
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『一千兆円の身代金』八木圭一 / 宝島社
社会派・憂国の誘拐ミステリー。
物語のひねりが不十分だとか、ありえない展開だとか、筆者の文章力が不足しているだとかの辛口コメントもあるようですが、僕は素直に楽しめました。
著者は日本の財政問題に真っ向から挑んでおられます。
こういうテーマを扱う場合、ひねりを利かせすぎずストレートに描くからこそ読者に真っすぐに届くはずです。切実さが伝わってきます。
今のジジイ世代が、若者にいかに問題を先送りし、金を搾取しているか。
そのことに、いかに罪の意識が欠落しているか。
非常に共感できますし、それをエンターテイメント作品としてまとめ上げたのは素晴らしい。
ありえない展開だからその小説はつまらないのではない。
読者自身がその問題についてもう諦めていて、出来れば目をそらし続けていたい(考えたくない)と望んでいるから、娯楽作品にそういうものが出てくると嫌気がさしてつまらなく感じてしまうだけだ。
確かに、現実的には日本の財政問題はもうどうしようもないのかもしれない。
だからと言って、目をそらし続けて先送りしようとしているなら
それは今の権力者のジジイ達と全く同じ人種じゃないか。
考えることを放棄してはいけない。
それでは権力者の思うつぼだ。
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