【マンガ】『ゆうやみ特攻隊』―最凶の勧善懲悪バトル
『ゆうやみ特攻隊』押切蓮介 / 講談社
奇才とはこの著者のためにある言葉である。
現代では、小さな子供でも絶対的正義なんてないことを分かっている。
他人が間違っているように見えても、それなりの事情や信条があるんだろうなと考えるのが大人の考え方である。
しかしこのマンガの敵は「絶対的な悪」といってよい。
その禍々しさ、凶悪さはマンガ界において比類ない。
こいつらをぶん殴ってやりたいと誰もが思い、
花岡隊長は読者の想像を超える暴力を以って徹底的に叩き潰す。
翔平やカエでなくとも「たいちょ~!」と読者は喝采を送るだろう。
こんなに頼もしいキャラクターがかつていただろうか。
ときどき挿まれるギャグのセンスも光っていますよ。
言葉のチョイスが素晴らしい。
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【スポーツ】『パスコースがない?じゃあ、つくればいい。』―好きなことをとことん追求する
『パスコースがない?じゃあ、つくればいい。』小柳ルミ子 / 東京書籍
少し前、「アメトーーク」の「仮バラシ芸人」でパンサーの尾形さんが
「サッカー番組に仮押さえで入っていたのにバラされた。代わりに出演していたの誰だと思います?小柳ルミ子さんだったんですよ!」とおっしゃってました。
それを聞いた時は単なるネタかと思ったのですが、翌日、書店でこの本を見つけて驚きました。小柳さんはネタではなく、本当に詳しい。
彼女は年間2000試合以上観ているそうです。
普段は1日5試合。仕事のない休日は10試合も観ているとか。
かなりクレイジーですね~。
中でもメッシを崇拝されているようで、メッシの名言集を作っておられて、そのノートの一部が公開されています。本当に好きなんだということが伝わってきます。
この本を読んだら、サッカー素人の僕も少しサッカーを観たくなりました。
パンサーの尾形さんをバラして、小柳さんをキャスティングした方は正しかったのではと感じます。小柳さんの視点は独特なので、話を聞きたいと思えます。
専門的な解説は、解説者に任せておけばいい。
これからワールドカップが始まるので、ちょっとした時の人になるんじゃないかという予感かします。
【マンガ】『映像研には手を出すな!』3巻―我々にはまだ遊びが足りない【アニメ・実写映画化】
『映像研には手を出すな!』大童澄瞳 / 小学館
⇧2018年6月発売。
最新刊の4巻は、2019年5月10日発売。
『このマンガがすごい!2018』にランクインし、
『マンガ大賞2018』にもノミネートされた作品です。
2020年1月からアニメ放送が開始されます。(NHK)
2020年の夏に実写映画化されることも決定しました。
主演は乃木坂46の齋藤飛鳥さん(浅草みどり役)。
同じく乃木坂46の山下美月さん(水崎ツバメ役)と、梅澤美波さん(金森さやか役)も出演されます。
<3巻の内容>
アニメ制作には欠かせない音響マンが仲間に加わり、部活動はさらにパワーアップ。
金森の子供の頃のエピソードもあり実に楽しい。
浅草も金森も本当にいいキャラしてます。
本書で金森は名言を残しています。
「私が好きなのは金ではなく利益を出す活動です。
金は価値を扱いやすくしたものです。」
「金儲けはなぜ教育的でないのか」というまともな答えを大人は持っていません。
教師は美辞麗句でお茶を濁すか、お上に目をつけられて問題になるのを恐れていることを恥ずかしげもなくぶっちゃけることで「ほら、あなたももう大人なんだから問題を起こして面倒なことになるのはお互い嫌なのはわかるでしょう?」と同属に引き入れようとします。
ダサい・・・!
そんなだから日本人はマネーリテラシーが無いに等しい状態で大人になってしまうのです。
仮想通貨相場が去年から爆発的に拡大しました。
投資的な思考が出来ない者はこれから先、世界の進歩に付いていけなくなるでしょう。
付いていけないばかりか、何が起きているのか理解もできない。
パラダイムシフトは始まっています。
置いていかれないためにも、このマンガでマネーリテラシーを身に着けましょう。
お金の本質は金森の言動から学べ!
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【マンガ】『ワンパンマン』(14巻)―ギャグなのに最高のカタルシス
『ワンパンマン』ONE、村田雄介 / 集英社
基本的にギャグマンガなのに、この巻は特に感動モノです。
ラストに向けての演出、構成が憎らしいほど見事。
圧倒的な力の差。
怪人の強さに対する恐怖、全く歯が立たない自分の武力。
勝つことなんて不可能で、逃げることすらできない。
どうすることもできない絶望的な状況。
そこで諦めるか、逃げるか、それでも戦うか。
「弱いヒーローに存在価値はあるのか」という問いの答えが描かれている。
『ダイの大冒険』29巻(たぶん)でのノヴァのセリフを思い出す。
「勇者ってのは勇気のある者のことじゃない。
周りの人間に勇気を与えることが出来る者のことだ」
ヒーローも同じだ。
強ければいいわけじゃない。
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【マンガ】『3月のライオン』(1巻)―闘い続けるということ
『3月のライオン』羽海野チカ / 白泉社
著者が全身全霊をかけて丹精を込めていることが伝わってくる作品。
それは棋士の将棋との向き合い方に似ている。
もうそれしかないんだ。
これに人生賭けているんだと。
久々に読み返していました。
最近の巻よりも初期の巻の方が切実感が強い気がしますね。
今では多くの仲間や支えてくれる人達との関係性で楽しく生きていけるようになりましたが、1巻や2巻では主人公・零くんの空虚感がビシバシと伝わってきてつらい。
人はこういう孤独を乗り越えてこそ強く優しくなれる。
棋士という職業は特に、進めば進むほど周りに人はいなくなり、自分で自分を調整・修理(メンテナンス)できる人間しか先へは進めなくなる。
終わりのない長い闘い。
闘う意味を自問し、探り続けなくてはならない。
誰かに聞いても教えてくれない。
教えてくれても自分の答えじゃないから理解も納得もできない。
理解したような気になって、借り物の答えにすがっていても意味がない。
人生も同じだ。
自問し、悩み苦しむことを辞めた瞬間から人は衰退していく。
大体1年に1冊の刊行ペースですが、今年の分(14巻)はまだ出てません。
9~11月頃でしょうか。例年通りならば。
早く出ないかな~
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【小説記事一覧】(1)~(100)2019.03.02更新
もくじ 兼 発表記事リンク一覧
( )内番号は発表順です。[ ]のジャンルは厳密ではありません。
〈あ行〉
(57)『アクロイド殺し』アガサ・クリスティー / 早川書房 [ミステリー]
――あまりに有名な殺人事件
(59)『阿部一族』森鴎外 / 新潮社 [文学]
――名誉と汚名は紙一重のタイミング差
(72)『天城一の密室犯罪学教程』天城一 / 日本評論社 [ミステリー]
――これであなたも密室トリックマスター
(86)『アンダーグラウンド・マーケット』藤井太洋 / 朝日新聞出版[SF]
――仮想通貨に関する先見性に脱帽!
(88)『13・67』陳浩基 / 訳:天野健太郎 / 文藝春秋 [ミステリー]
――リバースクロノロジーの手法がカッコよすぎ!
(100)『一千一砂物語』稲垣足穂 / 新潮社 [文学]
――美しさ=はかなさ?
(25)『一千兆円の身代金』八木圭一 / 宝島社 [ミステリー]
――あなたはきちんと憤れるか
(90)『イデアの影』森博嗣 / 中央公論新社 [ミステリー]
――思わせぶりな小説
(20)『イニシエーション・ラブ』乾くるみ / 文藝春秋 [ミステリー]
——驚愕の叙述トリック
(92)『犬の心臓』ミハイル・A・ブルガーコフ / 河出書房新社 [SF]
――ロシア風「アルジャーノンに花束を」
(48)『命もいらず 名もいらず』山本兼一 / NHK出版 [歴史]
――シンプルに生きることが一番強い
(13)『歌うクジラ』村上龍 / 講談社 [SF]
――ギチギチに詰まった文体に酔う
(9)『エデン』スタニスワフ・レム / 早川書房 [SF]
――どうしたレム?
(15)『オーデュボンの祈り』伊坂幸太郎 / 新潮社 [ミステリー]
――伊坂ワールドの原点かつすべて
(91)『俺の職歴』ミハイル・ゾーシチェンコ / 訳:クーチカ / 群像社[文学]
――ロシア版・筒井康隆
〈か行〉
(38)『皆勤の徒』酉島伝法 / 東京創元社 [SF]
――天才的言語センス!
(53)『戒厳令の夜』五木寛之 / 新潮社 [ミステリー]
――ロマンティック「ギャラリーフェイク」+センチメンタル「宗像教授伝奇考」
(49)『駆込み訴え』太宰治 / 新潮社 [文学]
――伊沢さん、難しいです。
(30)『火星の人』アンディ・ウィアー / 訳:小野田和子 / 早川書房 [SF]
――これぞ純粋でシンプルな極上のSF
(32)『風の十二方位』アシュラ・K・グウィン / 早川書房 [SF]
――17の風が吹く
(17)『ガリヴァー旅行記』ジョナサン・スウィフト / 角川書店 [文学]
――行こう龍の巣へ!ラピュタはそこにある
(69)『眼球堂の殺人』周木津 / 講談社 [ミステリー]
――昔ながらの「陸の孤島」モノ
(81)『元年春之祭』陸秋槎 / 訳:稲村文吾 / 早川書房[ミステリー]
――ミステリー史上最恐・最哀の動機
(98)『奇跡も語る者がいなければ』ジョン・マグレガー / 新潮社[文学]
――奇跡はいつでも起きている
(77)『キャッチ22』ジョーゼフ・ヘラー / 訳:飛田茂雄 / 早川書房 [文学]
――ポップだから伝わる反戦論
(34)『九杯目には早すぎる』蒼井上鷹 / 双葉社 [ミステリー]
――ヴィダーインゼリー的ミステリー
(55)『切れ者キューゲルの冒険』ジャック・ヴァンス / 国書刊行会 [SF]
――知恵を駆使する小悪党
(52)『崩れる脳を抱きしめて』知念実希人 / 実業之日本社 [ミステリー]
――たまには超王道の恋愛小説を
(73)『熊と踊れ』アンデシュ・ルースルンドほか / 早川書房 [ミステリー]
――スウェーデンで実際に合った銀行強盗
(3)『クリスマスに少女は還る』キャロル・オコンネル / 東京創元社[ミステリー]
――読み終わるとタイトルが感慨深い
(85)『グラスバードは還らない』市川憂人 / 東京創元社[ミステリー]
――壮大な力技トリック
(1)『胡蝶の夢』司馬遼太郎 / 新潮社 [歴史]
――幕末の蘭学勃興群像劇
(79)『このミステリーがすごい2019』 / 宝島社[ミステリー]
――2018年で面白かったミステリーランキング
〈さ行〉
(23)『殺戮にいたる病』我孫子武丸 / 講談社 [ミステリー]
――この叙述トリックは見抜けない
(60)『されど罪人は竜と踊る』浅井ラボ / 角川スニーカー文庫 [ラノベ]
――生ぬるいファンタジーなどお断りだ!
(50)『死刑にいたる病』櫛木理宇 / 早川書房 [ミステリー]
――シリアルキラーへの憧れ
(2)『屍人荘の殺人』今村昌弘 / 東京創元社 [ミステリー]
――題材とトリックの見事な融合
(11)『詩人と狂人たち』G・K・チェスタトン / 東京創元社 [ミステリー]
――こんな謎解きの仕方って許されるのか?
(51)『七人のイヴ』ニール・スティーヴンスン / 訳:日暮雅通 / 早川書房[SF]
――月が分裂したら人類が滅ぶ
(74)『湿地』アーナルデュル・インドリダソン / 東京創元社[ミステリー]
――土地柄ならではのトリックと捜査法
(78)『ジェリーフィッシュは凍らない』市川憂人 / 東京創元社[ミステリー]
――鮮やかな密室脱出トリック!
(19)『十角館の殺人』綾辻行人 / 講談社 [ミステリー]
――新本格ミステリーのはじまり
(82)『乗客ナンバー23の消失』セバスチャン・フィツェック [ミステリー]
――世間の常識が犯人の正体を見誤らせた
(18)『絡新婦の理』京極夏彦 / 講談社 [ミステリー]
――目から鱗が落ちすぎて怖い
(16)『水滸伝』北方謙三 / 集英社 [歴史]
――革命に人生を賭け、散っていった男たち
(95)『数字を一つ思い浮かべろ』ジョン・ヴァードン / 文藝春秋[ミステリー]
――冷静な緻密さと狂気が同居した執念のトリック
(64)『スペース金融道』宮内悠介 / 河出書房新社 [SF]
――人工生命からどうやって金を取り立てるのか
(27)『誠実な詐欺師』トーベ・ヤンソン / 訳:冨原眞弓 / 筑摩書房 [文学]
――騙されている人間を誰も尊敬したりはしない
(54)『世界が赫に染まる日に』櫛木理宇 / 光文社 [ミステリー]
――いじめの加害者に天誅を!
(61)『一九八四年』ジョージ・オーウェル / 訳:新庄哲夫 / 早川書房 [SF]
――ディストピアの代名詞
(21)『銭の戦争』(全10巻) 波多野聖 / 角川春樹事務所 〔経済〕
――読むと投資がしたくなる
(42)『その可能性はすでに考えた』井上真偽 / 講談社 [ミステリー]
――奇蹟の証明と悪魔の証明
(22)『その女 アレックス』ピエール・ルメートル / 文藝春秋[ミステリー]
―― 真実よりも大切なもの
〈た行〉
(94)『堆塵館』エドワード・ケアリー / 訳:古屋美登里 / 東京創元社[文学]
――想像力の飛翔
(89)『ダールグレン』サミュエル・R・ディレイニー / 国書刊行会[SF]
――たまには歯ごたえにある小説を
(68)『ダスト』チャールズ・ペレグリーノ / ヴィレッジブックス [SF]
――ゴキブリやアリが消えたら地球はどうなるか
(76)『地下室の手記』ドストエフスキー / 訳:江川卓 / 新潮社[文学]
――正論はプレゼン能力があってこそ
(37)『地下鉄道』コルソン・ホワイトヘッド / 訳:谷崎由依 / 早川書房[SF]
――黒人奴隷少女の壮絶な逃亡劇
(93)『血の探求』エレン・ウルマン / 訳:辻早苗 / 東京創元社[ミステリー]
――ほぼ盗み聞きだけで構成されたミステリー
(80)『チュベローズで待ってる』加藤シゲアキ / 扶桑社[ミステリー]
――他人に思考を預ける生き方は不幸なのか
(70)『血を売る男』余華 / 訳:飯塚容 / 河出書房新社 [文学]
――誇張された中国人の家族ストーリーだと思いたい
(99)『遠き落日』渡辺淳一 / 講談社 [文学・伝記]
――ビッグマウスの世渡り術
(28)『突変』森岡浩之 / 徳間書店 [SF]
――自分の住む町は好きですか?
(10)『ドグラ・マグラ』夢野久作 / 角川書店 [ミステリー]
――読後に気が狂わずにいられるか
〈な行〉
(12)『夏への扉』ロバート・A・ハインライン / 早川書房 [SF]
――お手軽タイムマシンなんかいらない
(45)『西の魔女が死んだ』梨木香歩 / 新潮社 [文学]
――丁寧に生きるとは
(47)『20億の針』ハル・クレモント / 訳:鍛治靖子 / 東京創元社 [SF]
――全人類の中から一人の犯人を探す
(40)『日本核武装』高嶋哲夫 / 幻冬舎 [ミステリー]
――世界からナメられないために
(71)『ニルヤの島』柴田勝家 / 早川書房 [SF]
――死後の世界という概念がなくなった
(46)『奴婢訓』スウィフト / 訳:深町弘三 / 岩波書店 [文学]
――セコさの極致
〈は行〉
(62)『ハイペリオン』ダン・シモンズ / 訳:酒井昭伸 / 早川書房[SF]
――カレーに温泉卵と唐揚げとチーズをのせたような贅沢な物語
(87)『碆霊の如き祀るもの』三津田信三 / 原書房 [ミステリー]
――提示される70個もの謎!
(58)『破戒』島崎藤村 / 新潮社 [文学]
――名探偵コナン+湊かなえ「告白」
(8)『花埋み』渡辺淳一 / 新潮社 [伝記]
――ななみんが紹介してました
(84)『破滅の王』上田早夕里 / 双葉社[ミステリー]
――国境を越えられるのは音楽だけではない
(29)『ハンニバル・ライジング』トマス・ハリス / 新潮社[ミステリー]
――レクター博士の誕生
(5)『万物理論』グレッグ・イーガン / 東京創元社 [SF]
――作家の想像力に感動した
(14)『羊と鋼の森』宮下奈都 / 文藝春秋 [文学]
――感性とは何か
(83)『日の名残り』カズオ・イシグロ / 訳:土屋政雄 / 早川書房[文学]
――デレを知らないツンツン執事の悲劇
(7)『火花』又吉直樹 / 文藝春秋 [文学]
――一流の芸人はここまで考えて生きているのだ
(6)『白夜行』東野圭吾 / 講談社 [ミステリー]
――著者最高の出来
(65)『フーコーの振り子』ウンベルト・エーコ / 文藝春秋 [ミステリー]
――妄執的「ダヴィンチ・コード」ごっこ
(75)『服従』ミシェル・ウェルベック / 訳:大塚桃 / 河出書房新社 [文学]
――退けば老いるぞ 臆せば死ぬぞ
(97)『不敗の村』グエン・ゴック / 訳:池上日出夫 / 新日本出版社 [文学]
――ベトナム人作家から見たベトナム戦争
(44)『ブラインドサイト』ピーター・ワッツ / 訳:嶋田洋一 / 東京創元社 [SF]
――想像のナナメ上をいく知的生命
(41)『ホッグ連続殺人』ウィリアム・L・デアンドリア / 早川書房[ミステリー]
――ある意味究極のトリック
(43)『ポーカー・レッスン』ジェフリー・ディーヴァー / 文藝春秋[ミステリー]
――全話面白い異常な短編集
〈ま行〉
(67)『マルドゥック・スクランブル』冲方丁 / 早川書房 [SF]
――これを超えるブラックジャック(カジノ)小説は絶対にない!
(31)『ミステリー・アリーナ』深水黎一郎 / 講談社 [ミステリー]
――真実はいつも一つ!とはどういうことか
(56)『文字渦』円城塔 / 新潮社 [SF]
――もじの豊かさであそぶ
(39)『モナドの領域』筒井康隆 / 新潮社 [SF]
――神以上の存在との対話
〈や行〉
(4)『闇に香る嘘』下村敦史 / 講談社 [ミステリー]
――見事な人物入れ替わりトリック
(24)『闇の奥』ジョゼフ・コンラッド / 訳:黒原敏行 / 光文社 [文学]
――自分の常識が通用しない場所
(26)『幼年期の終り』アーサー・C・クラーク / 訳:福島正実 / 早川書房 [SF]
――人類よりも上位の知性とはどういうものか
〈ら行〉
(63)『ランドスケープと夏の定理』高島雄哉 / 東京創元社 [SF]
――和製グレッグ・イーガン
〈A〉
(96)『Ank:』佐藤究 / 講談社 [SF]
――暴力の感染メカニズム
〈 I 〉
(33)『IQ』ジョー・イデ / 訳:熊谷千寿 / 早川書房 [SF]
――ロサンゼルスのシャーロック・ホームズ
〈K〉
(35)『know』野崎まど / 早川書房 [SF]
――天才性とはこういうことだ
〈T〉
(36)『TOKYO BLACKOUT』福田和代 / 東京創元社 [ミステリー]
――息継ぎできない緊張感がすごい
〈X〉
(66)『Xの悲劇』エラリー・クイーン / 訳:鮎川信夫 / 東京創元社[ミステリー]
――正統派本格ミステリー
【小説・ミステリー】『イニシエーション・ラブ』―驚愕の叙述トリック
『イニシエーション・ラブ』乾くるみ / 文藝春秋
「ただの青春恋愛小説やん」という感想をラストページ直前まで持ち続け、
ラスト2行で世界が反転します。
この作品は有名になってしまったので多くの方が知っているかもしれません。
でも、何も知らずに読んだら、まあ驚いて再読すること間違いなしです。
「あれも、これも、本当はそういうことだったの?!」と
1冊で2度おいしい体験ができます。
普通に恋愛小説としても面白いし、広義のミステリーとしてもよく出来ています。
「叙述トリック」というものの存在を知らずにこの作品に当たった人は
ぶったまげるでしょう。羨ましい。
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【小説・ミステリー】『十角館の殺人』―新本格ミステリーのはじまり
『十角館の殺人』綾辻行人 / 講談社
僕が初めて叙述トリックというものを知った作品です。
著者のデビュー作でもあり、日本ミステリー界で「新本格」が始まったとされる起点となる作品でもあります。「館シリーズ」第1作目。
物語、設定としてはシンプルで、分かりやすく読みやすい。
スタンダードな「絶海の孤島」モノ。
外界と隔絶されて連絡手段が(ほぼ)なく、「密室」「アリバイ」といったキーワードが出てきて連続殺人が起こります。
「ミステリー脳」、「探偵脳」をもつ人間ならば、そういうキーワードを見ただけでワクワクしますよね。(『それでも町は廻っている』の探偵脳定義によればレベル2くらいでしょうか。)
始まり方もカッコイイです。
著者が力んでカッコつけようとしたんだろうな、とは感じましたが、
後々思い返してみれば、結構なアクセントになっていたなと記憶に残ります。
何といってもラストの叙述トリックに驚かされます。
叙述トリックというものを知らない人がそれに初めて触れたとき、一番驚くことでしょう。ミステリーでは物理トリックはやり尽くされており、まだ考案されていないトリックを考えるのは至難の業です。『十角館』以降の日本のミステリーには叙述トリックが増えてきた印象があります。
叙述トリックも面白いのでいいのですが、物理トリックも盛り込まれていた方がなお嬉しいですよね。
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【マンガ】『約束のネバーランド』(9巻)―やっぱり生きてた!(ネタバレ)そして紙の本の存在意義発見
『約束のネバーランド』白井カイウ・出水ぽすか / 集英社
ノーマンが生きてましたね。
一番好きなキャラクターだったので、序盤で舞台から退場したのは残念でした。
このマンガは、週刊少年ジャンプということもあってか、設定上はかなり絶望的なサバイバルなのに主要キャラが死にません。そもそも少年マンガとはそういうものであってほしい。『進撃の巨人』のように主要キャラを容赦なく殺してしまうのは心臓に悪い。
直接死んだ場面も描写されなかったのでもしかして・・・と思っていました。
(『ダイの大冒険』のアバン先生パターン)
今回の表紙絵と、カバーを外した表紙絵のつながりに鳥肌が立ちました。
すごい!!
カバー下の絵はオマケ的な要素(多くのマンガでは描かれてすらいない)だと思っていたのですが、常識を覆してくれました。
こういう表現方法があったか!と。
これは電子書籍では出来ない表現では?!
紙の本の存在意義を発見できた!
これだ!これなんだ!と。
カバーを外すという読者による行為→驚愕→感動→アイデアに称賛。
新刊9巻今月発売。
本当にテンポよく発売されますね。
原作も作画も安定して速いということでしょう。すごい。
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【マンガ】『マロニエ王国の七人の騎士』(2巻)―壮大なファンタジーがはじまる
『マロニエ王国の七人の騎士』岩本ナオ / 小学館
この作家さんは大好きで、全作品持っています。
少女マンガ界で独特の個性を放っている奇才です。
言葉のチョイス、題材の設定と切り口、細かく丁寧な手のかかった背景、コマの中の空気感、話の展開のテンポ、etc・・・唯一無二。
前巻(1巻)では設定の紹介とストーリーの序盤とで終わったので、なんだか掴み切れない感じでした。
2巻からはようやく世界観も理解できて、ストーリーも本格的に動き出しました。
ほとんど匂わせるくらいの会話から、著者はすごいことをやろうと考えているぞと鳥肌が立ちました。僕の予想通りなら、恐ろしく壮大なファンタジーになる。
収拾がつくのか心配です。
10巻では収まらないでしょう。
少なく見積もっても15巻くらい?
完結まで7、8年かかるのでは?
最近、女性誌や少女マンガ雑誌がどんどん休刊していっているから、完結まで掲載誌が存在しているか微妙です。
「flowers」は好きなマンガ雑誌ですが、近所の書店には配本が少なめです。
他の書店でもどっさり平積みしてあるのをみたことがない。
けっこう厳しい状況なのでしょう。
応援してます!
がんばれflowers!
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